第11話「できると思ってなかったものができた」
翌朝。
「ふあああ、おはよう」
「おはよー」
「おはよってあれ? おじさん、お姉ちゃんと寝てたの?」
リオル君が仏間から出てきた俺達を見て言った。
「そだよー。パパと一緒にねー」
ライラちゃんが俺に抱きつきながら……あたってるぞ。
「パパ? お姉ちゃん、おじさんの子供じゃないでしょ」
リオル君がしかめっ面で言う。
「今日からなったんだよー。リオルだってそうでしょー」
だからあたってる、離れなさい。
「……それよりさ、妹さん探しに行くのはいつにする?」
リオル君がさらにしかめっ面で聞いてきた。
「あ、そうだな。とりあえず朝ごはんにしよか」
今日はリオル君が焼いてくれたパンを食べた。
元々お母さんと一緒に焼いていたらしいのでお手の物だそうだ。
いやほんと美味しいわ。
ココもライラちゃんも絶賛してた。
食後。
さてと、準備もだがある程度は当たりをつけないとな。
奴隷を買うくらいだから相当金持ちがいるところかな?
マップアプリで西の方にそれらしき町が無いか探してみた。
すると西端の方に大きな町があるみたいだ。
大陸にも近い場所だし、ここかもな。
「えっと、ここから徒歩でだとどのくらい……十日程か」
「結構あるんだねー。ってこれ便利だねー」
ライラちゃん、顔が近いぞ。あとまたまたあたってるぞ。
「けどこれは順調に行ってだぞ。途中で何があるか分からないからな」
「今のあーしにリオル、パパなら盗賊くらいやっつけられるよ」
どうだろうなあ? 盗賊って魔法使わないのか?
「おじさん、ちょっとスマホ貸して」
リオル君が手を出して言ってきた。
「え? いいけど」
スマホを渡すとスイスイと文字打っていた。
つかほんと物覚え早いわこの子。
「やっぱり。ねえ、テレビで見た自動車、魔法で作れるって」
リオル君がスマホを見ながら言った。
「え? そ、そうだったのか?」
「うん。森の奥に材料あるって。それを錬金魔法で合わせればいいってさ」
「そうか。それなら上手くいけば半日くらいで着くな」
「ねえ、じどーしゃって何?」
ライラちゃんが首を傾げて聞いてきた。
「馬車より早く走る魔法の車だよ」
リオル君がそう言ったが、馬車あったんだなこの世界。
「ひゃあ、そんなの作れるんだー」
「ねえ、どうして作れるって思ったの?」
俺が疑問に思って聞くと、
「こんな家が作れるんだから、自動車もできるんじゃって思ったんだ」
そうか、俺なんかできるわけないって思ってた。
もし凄い技術者がいたらその人にアイデアだけ渡そうかってくらいだったわ。
「リオル君、教えてくれてありがとう」
「えへへ」
頭撫でたら喜んでくれた。
「ほんと頭いい子だわー、うりうり」
「うわあ!」
ライラちゃんがリオル君を抱きしめた。
おお、照れてるな。
「じゃあ今日は材料探しと車の製作で、明日は出発の準備。だから明後日でいいかな?」
「いいよー。焦っても仕方ないし。そうだ、いっこお願いしていい?」
ライラちゃんが手を挙げて言った。
「ん? 何だ?」
「あーしのことは呼び捨てにしてよねー、パパ」
「え? あ、ああそれでいいなら。ライラ」
「うん!」
おお、満面の笑みだな。
……ああ、ほんと満たされる思いだわ。
「……ぼくが先なのに」
「きゅー?」
早速森へ向かった。
「ねえ、これちょっと動きにくいんだけどー」
「我慢してくれ。あの服じゃ肌に傷がつくし」
ライラには俺のジャージを着せた。
ややぶかぶかだが、特定の部分がきついらしい。
そうだ、錬金魔法で服も作れないかな。
後で聞いてみよう。
途中にココの両親の墓がある。
皆で手を合わせてから、更に奥に進んだ。
リオル君も奥までは行った事ないそうだ。
「ココもパパとママ亡くなってたんだね」
「きゅー、きゅー」
「今は皆がいるから寂しくないって」
「そっかー。あーしもだよー」
「きゅー」
「お、こ、ここは?」
着いたのは木に囲まれて開けた場所。
そこには茶色の石がたくさん転がっていた。
これ、もしかして鉄鉱石じゃ?
「えっと、普通自動車なら手のひらサイズ四つあればあとは魔法で増幅して作れる。タイヤや内部の材料は近くの木に……あっ」
木から垂れているこれ、ゴムだ。
持ってきた小さな袋にゴムを目いっぱい入れた。
「これだけでいいの?」
リオル君がそれらを見ながら言う。
「そうみたいだよ。けどなんで鉄鉱石が転がってるんだろ?」
「そういえばお祖父ちゃんが言ってたけど、大昔に天から大きな石が降って来て、森の奥に落ちたんだって。それで村長だったひいおじいちゃんが五十年は奥に近づくなって言ってたって」
「え、そうなの? それで五十年経ってるの?」
「ちょうど今年でね、お祖父ちゃんはここにはきっといいものがあるから、そのうち探しに行こうって言ってた」
「そうだったのか」
これ、隕石が砕けたものかもな。
しかしなんで五十年待てって……ああ、もしかしたらひいおじいさんは放射能というものまでは知らなくても、似たような何かを知っていてそれでだったのかもな。
「こんだけあったらいっぱいいいもの作れそうだよー。ねえ、カンナ見つけたらそうしようねー」
「うん」
「そうだな」
その後俺達は家に戻り、庭の真ん中に鉄鉱石とゴムの袋を置いた。
「さてと……イメージすれば」
細かく再現できなくても、走ってくれさえすればいいんだし。
「はっ!」
手をかざすと光線が出て石とゴムに当たり、グングンと大きくなりながら形を変えていき……そして。
「うわあ!」
「きゅー!」
「やった!」
イメージ通り、五人乗りの自動車ができた。
「魔法力で走るようにしたし、じゃあ試運転といくか」
走らせてみたら想像以上の出来だった。
静かに走るし誰も車酔いしてないし、これならいけるな。
降りた後。
「ねえ、ここに荷物入れられるね」
リオル君がトランクルームを見ながら言い、
「もっと大きかったら中で寝泊まりできそうだねー」
ライラにそう言われて気づいた。
それもいいな、今度それしてみよう。
次の日は水や食料、道具類をトランクルームに入れ、錬金魔法でライラの服を作り。
魔法の練習もして、いろいろ話したりした。
そして、また次の日の朝。
「そうだ、留守の間は魔法陣で村を囲んでおこう」
たぶん神様のだから大丈夫だろけど、念のため。
「皆乗ったな、じゃあ出発しようか」
俺達は一路西へと向かった。
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