🚀終章 第36話:新時代の挑戦者たち
──未来に託す意志とその選択肢を提示の物語
春。
新学期。
静ヶ丘学園では、新しい生徒会選挙が始まろうとしていた。
だが、今年は様子が違っていた。
昨年の選挙改革の影響で、AIの使用ルールが明文化され、
「補助的利用」か「完全不使用」かを候補者自身が選択する制度に変わったのだ。
選択肢は、次の三つ。
1.AIサポートモデル:AIの計算と共に戦う道
2.人間主導モデル:AIの分析は使わず、自分の戦略を自分で立てる道
3.ハイブリッドモデル:AIの補助を受けつつ、最終判断はすべて人間が下す道
──かつての「AI万能選挙」は、もはや存在しなかった。
選挙掲示板の前に、新入生の姿があった。
「……“AIとの共存型”か。“非使用主義”か。悩むなぁ」
そう呟いたのは、佐倉 悠真(さくら・ゆうま)。
一年生であり、選挙への出馬を検討している新時代の挑戦者だった。
彼のAI〈ヘルメス〉は、颯太のメティスよりさらに新しい設計で、
「共感値の可視化」が可能なタイプだった。
「でもな……なんか、怖いんだよな。
“AIに頼って決めたこと”を、“自分の言葉”として話すのって」
『共感指数は常に変動します。
ですので、あなたの発言が今届かなくても、未来で響く可能性は残ります』
「……やっぱ、そういうのが怖いって言ってんの」
悠真は、スニーカーの先で土を蹴った。
そのとき、ふいに背後から声がした。
「なあ、迷ってるときは、“話したいこと”から決めた方がいいよ」
振り向くと、そこには前年度の生徒会長・陣内颯太の姿があった。
「AIを使うか使わないかは、どっちでもいい。
大事なのは、“お前が、何を伝えたいか”だ。
その“最初の一言”に、自分の正しさを込められるなら──
AIはきっと、お前の邪魔はしないよ」
悠真は驚いて、そして小さく頷いた。
「じゃあ俺──自分の言葉、探してみるわ。
AIの声じゃなくて、“自分の言葉で、誰かに届くやつ”を」
🌱掲示板に、新しい名前が貼り出される。
▶︎ 立候補者:佐倉 悠真(1年)
AIサポート方式:ハイブリッドモデル(対話重視型)
第一公約:「あなたの声を、“選挙が終わったあと”も聞き続けたい」
──それは、選ばれるための言葉ではなかった。
でも、“選ばれたあとも、歩き続ける”覚悟を感じさせるものだった。
メティスは、校舎の片隅で記録を続けていた。
『記録No.0001:新世代、言葉を持って立つ』
『感情予測:未定義/共鳴期待値:不確定』
『だが──“可能性は、十分にある”』
🎓ラスト・ナレーション(未来へ託す静かな余韻)
選挙が変わったのではない。
時代が変わったわけでもない。
ただ、人々が、“言葉を選ぶことの意味”をもう一度考え始めた。
それだけで、未来は、少し明るくなる。
AIが隣にいる時代に、
“あなたが選ぶ”という行為は、
かつてよりずっと重く、ずっと美しい。
「AIの隣で、何を語るか──それは、君の未来をつくる言葉になる。」
『AI選挙戦記 〜熱血と理論の頂上決戦〜』 Algo Lighter アルゴライター @Algo_Lighter
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