第8話 桜へ
桜の日記を読んで僕がこの日記を書いた意味。
そんなものは無いかもしれない。僕の自己満足なのかもしれない。
自己満足でいい。もし僕のこの日記を僕らを知らない人が読んでも
その全員が桜がいい人だとわかるように。命がなくなるからこそ。
今生きているこの一瞬を全力で生きていけるように。
家族。友達。自分の周りの人に日々の感謝や自分の素直な気持ち。
ちゃんと伝えて生きていけるように。ここにこの日記を書き残しました。
最後にもう少しだけ僕の自己満足で大切な人に言えなかった言葉を残します。
桜へ
まず、僕の人生の中に君と出会う運命があった事を神様に感謝しています。
そして君が僕に嘘をついたことを未だに許せません。
君は僕に気持ちを残せたからいいかもしれないけど、僕は君に何も伝えれれないんだぞ。ほんとずるいよな。
天国にいる君はきっと綺麗な桜の木の下で元気に笑っていることが想像できます。
君との日々は僕の日記として書き直したよ。君は絶対怒るだろうけど他の人も
見ることができる場所に残すことにしたんだ。僕と君の命が。
読んだ人の数ある後悔。その中の一つでも減らすことができたらいいと思ったから。
毎日毎日君との日々を思い出しながら笑って泣いてどうしょうもない感情になってしまうこともあったよ。でも今の率直な気持ちは簡単で。
早く君に会いたい。
家族はそんな事望んではいないだろうし君も望んでいないだろうけど
それでも僕は早く君のところに行きたいんだ。
この世界で君と桜を見ることはなかったけど、僕がそっちに行ったら
一緒に観にいこう。そっちなら君を持ち上げることも抱きしめることも
君に負けないくらい走ることだってできるんだぞ。だからさ、もう少し待っていてね。
指が動かなくなってきているのでここら辺にしていきます。最後に言えてなかった言葉だけ書かせてね。
桜、君が好きだ。
寿命160年の君ともうすぐ死ぬ僕の話。 下条 明夜夏 @koko9314
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