第3話 今日決まった、君の寿命。
それから1ヶ月が経っただろうか、僕の体は、日に日に弱っていき、桜にも心配をかけてしまっていた。いつものように、部屋には桜がいた。
僕の病気のことはお互に名前で呼ぶようになった頃に話していた。
余命宣告を受けていたこともこれから先が長くないことも。
桜になら伝えてもいいと思ったからだ。
入院して一週間以上経った位から歩くのは控えていてこの頃の僕は
車椅子での移動が増え始めていた。
桜「春?今日は天気が良くて気持ちがいいよ?少し外に行かない?私が車椅子押してあげるからさ」
僕「いいねぇ。桜が押してくれるなら一瞬で外にいけそうだな。」
桜「ちょっと失礼!私だって一応病人なんですけど?まぁ春に比べたら全然元気なんだけどね。
外に出ると、快晴の空に弱りはじめた心が瞬く間に回復した。
これも桜がいなければ、回復しなかっただろう。僕は桜と過ごすうちに毎日弱り続ける体と心が少し回復しているような気がしていた。
桜「あのね、春がもし私よりも先に天国に行くようなことがあれば私が許さないよ。人間の平均寿命は少なく見積もってもやく、80年なんだって。春の寿命だけこんなに短くていいわけがないでしょ?」
僕「何言ってるの。君より先に僕が?ありえないね。君はきっとこれから先使うはずだった元気を今使いすぎているから、体がもたなくなって僕よりも先に萎れちゃうよ。」
僕「でも、桜、実際のところ僕は1年以上前に余命宣告を受けているんだ。その時からだいぶ時間が過ぎているんだよ。だからね、、僕はいつ死ぬかわか、、、、」
桜「ねぇ春。そんな弱気な春は見たくないよ。」
桜「でも一つだけ、春はもう直ぐ死んでしまうんならね、
本当に春が死んでしまったらね、春が本来生きるはずだった80年の寿命は。」
「私が貰ってあげるよ。」
「だから、私の寿命は二人分の160年。」
僕「馬鹿馬鹿しい話だね。でも桜なら160年生きても納得かもな。元気だし」
桜「私のイメージって元気しかないのか?」
僕たちはお互に必要とする存在になっていた。
お互いの毎日にお互いがいて、当たり前になるまでにそう時間はかからなかった。
桜は僕が生きている間にできることをたくさん考えてくれた。
そして、二人で始めたのは毎日の小さな目標を日記に書いて、それを達成するという至ってシンプルな遊びだ。とは言っても僕の方は体もそこまで動くわけじゃないおから、いつも、ご飯を残さない。夜中にトイレで起きない。早く寝る。などの小さすぎることだ。これを始めてから桜にはよく褒めてもらえるようになった。
僕「桜はどんな目標を掲げているの??」
桜「私は、昨日より元気に、とか、昨日より遅くまで起きてるとか、時間を無駄にしないとか、そんな感じだよ!」
これは桜らしい。
この日から僕はもう直ぐ死ぬ人。
桜は寿命160年の人
となった。
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