第9話 首狩り少女


 暗い校舎の中。

 スリッパで駆ける足音が鳴り響いている。


 私は、追われていた。

 ぜぇぜぇと、息を荒らげながら逃げる。



 "アレ"から。



 なぜ逃げているんだろう。

 この校舎は?夜の学校?



 疑問に思いながらも、どんどん追いつかれそうになって冷や汗をかく。



「はぁ……はぁ………、たすけ、………」



 足がもつれて転げた。

 床に体が叩きつけられて、痛い。



 "アレ"はわざわざ、私の前に回り込んでしゃがみ込んだ。


 セーラー服に鎌。


 私はよたよたと立ち上がって、後ずさる。

 しまった、後ろは──壁。



 もう終わりだ。

 絶望に飲み込まれながら、顔を上げる。


 ふと、目が合った。

 あれ……?



 少女が鎌を振りかぶるのが目に入る。



 首が、切り離される───。


(少女の顔は、私と全く同じ顔だった)


 私が最期に聞いたのは、

 自分の首が床に落ちる音だった。



 ゴトッ




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夢の断片 ニア @momotata_aaa

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