よろしく

つきもと

新学期

春は出会いの季節。つい数ヶ月前までは年が暮れるのを切なく思っていたのに薄情なもんだよねー。

ま、そんなとこが好きなんだけど。

さてさて、あそこにも出会いを果たした2人がいますなー。


「またあんたと一緒のクラス…。」

「こっちのセリフだわ。」

「やーーーーーっと一年過ぎてようやく離れられると思ったのに!!!」

「溜めんな!!!俺だってお前と一緒のクラスなんて嬉しくねーよ!!」


あらら、あんな公然でギャーギャー言い争っちゃってー。素直じゃ無いんだからー。風送っとくね。


「きゃ。」「うお。」

春の陽気が運んだ突風は桜の花びらを巻き込んで2人の間を吹き抜ける。


「「きれー。」」


重なった言葉。目を見合わせた2人はどちらからともなく笑い出した。


「ふふ、まあよろしくしといてあげるわよ。」

「おう、こっから一年もよろしく。」


2人は友達、まだね。

ふふふとまるで笑うかのように桜の枝がそよそよと揺れていた。

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