曇りの日
時計の秒針の音がうるさい
耳をふさいでもふさいでもふさいでも…
カチっカチっカチっカチっ
いっそのこと時計を壊してしまおうかという破壊衝動に駆られる
静かにしてよ…
この日、望は熱を出して寝ているしかない状態だった
規則的なリズムは今の望には苦痛でしかない
ボーっとする頭、重たい体。
ムリヤリ引き起こして、壁面にかかる時計を弱めにドンッとたたいた
ひっかかりが浅かったのか壁の時計はいとも簡単に床に落ち、時計は活動を止めた
静寂が部屋を埋める
「なんだ…簡単じゃん」ぽつりと言い、望はわらう
最初からこうすればよかったの。
気を抜けばその場に倒れこみそうなほど、めまいがする
体を左右に振りながら、足元の感覚もなくベッドに戻った
それから何時間眠ったのか、はたまた気絶していたのかわからないが
カーテンの隙間が白んでいた。今、何時…。
いつも見上げる壁にかかっていたはずのお気に入りの時計がなかった
????
一瞬、パニックに陥った
視線を落とした先。
床には砕け散ったガラスと盤面。盤面にかろうじて残っているのは長針だけだった
「どういうこと…?」
痛っ…
裸足でガラスのかけらを踏んだらしい
ジワジワと広がる痛み。そして、切れた箇所から染み出る、赤。
赤はやがて酸化し黒を帯びていった
気持ち悪い…目の前が白くかすんできた
ドクドクドクドク…心臓の音がうるさい
望には一つだけ難点を抱えていた
【迷走神経反射】
貧血様の症状と脱力感そして吐き気
こんなことで倒れてちゃいけないのに…
でもなんか、もう、いっか…
そのまま、体を重力に預けた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます