意外な反応

Iloha

第1話

昔よりは減ったけど、

爆弾発言を期せずしてしてしまう。


「私、一人暮らししたい」

子どもはもう大きい、夫も身の回りのことは

全部出来る。


「好きなことだけしたい」


そうだよ、頑張って生きてきたもん。

一人で楽しく生きることを追求したい。

みんな一人で出来るでしょ、自分のこと。


自分としては、家庭を支えた自分。

満を持して発言したつもりだった。

これは「期せずして」じゃなく、

堂々確信してだった。


なんて返事するかな。

ちょっと待ってみた。

「いいよ、やってみたら」って言われるかも。


しばしの沈黙の後、娘が言った。

「生きていける…? 」

夫もかぶせてきた。

「しっかりご飯食べられるの。

 飢え死にしないのかって心配」


え。

私は家庭を支えてきたけどな。

働いて、掃除も買い物もご飯も作るじゃん。

切り盛りしてるじゃん、家事。


「俺、ママが歯ブラシくわえたまま

寝てるの4回救出したぜ」

「寝てる時ママ、言うこと聞くんだよね。

 口開けてって言うと素直に開ける」


そのエピソード2回は記憶あるけど、

そんな助けられてた?


「布団もかけないで寝るし、

風邪ひくと思う」


え、だからそれは仕事と家事で疲れ果ててね。

だから一人で暮らしたいってことなんだけど。

分かんないかな。


2対1。

多分、両方が「分かんないかな」って

思ってる。


「鏡よ鏡、答えちゃって」

去年のヒット曲。

自分の姿。

自分だけが知ってるとは限らないみたい。


一人暮らししたいの結論は延長。

今日も朝イチで玄関ほうきで掃いたけどなぁ。

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