アイクチジョウフク
ていりあ
エピローグ
雨は憂鬱だ。傘を差しても足に雨は当たるし、車が通れば水は跳ねる、おまけに体のあちこちが痛む。
淡々と均一な音を奏でる外に、私は少し大きめの傘をさして校門をでた。しばらく歩くと駅に着き、次の電車が来る時刻を調べる。
時刻は十六時三分、次の電車が来るのは十六字時三十五分、おおよそ三十分の余裕があった。
「はぁ」
少し大きめのため息をつき、駅のホームへと歩く。ホームは外に野ざらし状態であり、真ん中には申し訳程度の喫煙所が備わっていた。
他に雨をしのぐ場所は見当たらないのでしょうがなく喫煙所に入り、備え付けの椅子に座る。ほんのり香るタバコの匂いに梅雨の湿気を巻き込みなんとも言い難い気持ち悪さを感じる。
周りに人はおらず、聞えるのは雨の音、太陽が出て無いせいか体のいたるところに懐かしい肌寒さと痛みを感じる。
「あんたなんて生まなきゃよかった」
震えながらも確かに私に向けて放った母の言葉、体に与えられたどんな痛みよりも私には痛かった。
冬の終わりとはいえ、ボロボロの服を着ていた私にはとても耐えがたい寒さだった。
「嫌なこと思い出したな、」
体中に冷や汗をかき、まるで服をすり抜けて雨が当たっていたかのような感覚に襲われる。タバコのせいだろうか、思い出したくもないことを思い出してしまった。
深呼吸をし気持ちを入れ替える。
時刻は十六字時三十四分、定刻通り到着した電車に乗り込む。二、三人しか人はおらずガラガラの列車内、ロングシートとなっていて窓が背面になるタイプのようだ。
一番隅の席に座り、向かいの窓を眺める。雨はまだやみそうにない。
列車が動き出した。
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