第1話


「ねえ、見て」

朝、窓を開けた私は思わず感嘆の声を漏らした。

ベランダから見えるのは、蕾が綻んで咲いたひとつのはな。


「ん?なになに?」

私の弾んだ声に、まだ眠たそうな彼がおぼつかない足取りでこちらへやってくる。

そして私の指さす方を見て、ふわりと、表情を緩めて笑った。


「またひとつ、季節が巡ったね」

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