第4話
IV. 二人の影
二人が現れる。名はない。影だけ。足が地面を擦る。一人が缶を蹴る。缶が転がる。カタカタ。壁に当たる。「これか」と一人が言う。声は低く、風に溶ける。
もう一人が首を振る。振る。「待つだけだ」と呟く。二人、立ち尽くす。風が髪を揺らす。揺らす。二人の影が伸びる。伸びる。消える。
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