029:青ゴブリン、東の街へ①
◇
ジンジュです。アインツ市から東へ。
んで、いつの間にか次の街「イース市」に向かってる。
森の獣道を進んだら、
……するとそこは、街へ続く平原だ。
視界が
「ここ、牧場かなんかか~……?」
ん~いや、それっぽい首輪とかタグとかなさそうだしな~……
「飼い主おってなんかな~?」
「おってやないらしいわー」
「そうそう、“逃げて野生化した元家畜”なんだとよ」
はは~ん、そんな話もあるのか~。
で、牛・豚・鶏か。一番デカい牛が一番危なそう……て思うでしょ?
「ここ、一番気ぃつけなアカンのは……やっぱ鶏?」
「せやなー」
「あと“他の
せやったわ、このゲーム……
この辺の住民は、軽率に魔物と戦う、ってことをしない。死んだら終わりだからな。
だから、なるべく戦わなくて済むように――もし戦っても、生きて帰れるように――念入りに準備してから、街を出るんだって。
当然、人のほうから戦いを仕掛けることもほぼない。そんな
……「ちょっとだけならあるじゃん!」?
まあとにかく、“ここでは
「おっ、
「おっけー、【
そうそう、あんな感じ……で……?
「ン゛モ゛ー !! 」
「【鑑定】、っしゃあ、来た
「ソンくん !!? 」
前にいる
牛は
「……モ゛ー?」
「い、嫌っ! 来ないで !! 来なヒゲェッ」
へたりこんで命
2人は順に、
……アインツ市からやり直しか~。
あ、そうそう。牛は基本、おとなしい生き物だよ。理由は色々あるけど、その1つは“強いから”だ。
根性あって力持ちなんだよな~。
……そんな能書きは置いといて。牛が今度はこっち見てる。
んで、ボーゼが朱塗りの大盾を構えながら、俺に言う。
「下がっとけ、【鑑定】・【テイム】頼むわ」
「りょ~か~い」
俺よりは強そうな人たちが、あっさりやられた。まして俺には止められない。〈下剋上〉スキルも万能じゃないし。
じゃあ、後ろから援護・妨害に
「……やだイケメン♥️」
「オ゛エ゛ー゛ッ゛」
後ろから、えすとの裏声と、はったさんのえずき声がした……
「「しばいたろかワレぇ ?? 」」
「「
「カァ~……」
「……モ゛ッ!」
俺らの声に反応したか、牛がこっちに走ってきた。
《「ブラックブル(♂)」1頭と交戦中です》
「【鑑定】、【テイム】! ……とがのもお願い」
「ふんす、【
「ありがと~」
《「ブラックブル(♂)」1頭の【テイム】に失敗しました》
―――――
ブラックブル(♂) Lv.16[交戦中]
(分類)魔物/動物型
野生化した肉牛、もしくはその子孫。草食。大人しい個体が多い。
戦えないなら、遠ざけるべき相手である。特に蹴りと、体格などを活かした突進に要注意。
HP:95% MP:―
―――――
結果は~? さんはい、後で読む~ !!
……ネタはさておきコイツ、とがのとか全然気にしてないな? まだボス
怒りでど~でもよくなったか?
それとも“何それ ?? 誰の匂い ??? ”なのか……どっちだろうな?
「……【
「
アカンアカン、余計なこと考えてた……って気づいたところに、ドーン! て音が響く。
ボーゼの盾に、牛が正面衝突したんだ。
「ン゛モ゛ー !? 」
「や、相変わらず重たいわ」
「余裕か~?」
黒牛が悲鳴を上げて、後ずさる。んで、その場に座りこんだ。
さすがのボーゼも、無傷とはいかん。50cmぐらい後ろに押されたし。
けど何回も戦うた相手らしいし、レベルもこっちが上や。そら余裕あるわな。
「食らえー、【
「【
「カァ、【
んで、黒牛に魔法が襲いかかる。
「ン゛モ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛!? 」
気の毒なくらいの集中放火を、耐え抜いた黒牛。しぶといな~。
この調子で落ち着いてほしい所、だけど……
「モ゛ーッ!」
まあ無理だよな~、また突っ込んで来るよ。
石ぶつけようか……?
「あっちに
「「「了解」」……誰や孫市~?」
「……来たな、フンッ !! 」
「ン゛モ゛ッ゛!? 」
ボーゼが黒牛を、左斜め後ろに受け流す。街道の石畳から、草原に出た牛の尻に……
「だあッ!」
「ン゛モ゛ー !! 」
石ぶつけて、さらに追いたてる。その先には、こちらを
「¿
「モーッ !? モッ、モッ……」
案の定、鶏は牛に飛び掛かった。
真っ赤な
小回り
とはいえ、しぶとい黒牛くんに
じゃあ
「まだやッ、まだ、
「「【鑑定】!! 」」
「【
「【鑑定】、【テイム】!」
「【
ボーゼの合図で、俺らは一斉に駆け出した。各自、走りながら挑発。
速いのには速いのを。はったさん、クロウくん、ボーゼ、レティシアちゃんは雄鶏に飛び掛かる。
俺らが狙うは牛の首、ただ1~つ !!
《「コッケ(♂)」1羽の【テイム】に失敗しました》
それはそれとして、貰える
―――――
コッケ(♂) Lv.19[交戦中]
(分類)魔物/動物型
野生化した鶏、もしくはその子孫。オスは勇敢で、体の大きな相手にも
戦えないなら、遠ざけるべき相手である。特に蹴りと、
HP:100% MP:100%
―――――
「ふんす!」
「ぷう……!」
「モ゛ッ !? 」
「【
「ン゛モ゛ーッ !! 」
先行するとがの・ダイスが黒牛の尻に噛みついて、後ろのえすとが魔法を放つ。
顔面に光球を食らって、牛の足が止まった。
「【叩きつけ】、【
「モ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッ゛!! 」
牛の左側に回り込んで、頭上の大盾を振り下ろす。赤い光球をつけた角っこが、牛の首根っこに当たる。
“
《「ブラックブル(♂)」1頭を討伐しました。以下の条件が満たされています》
《〈鈍器〉〈敏捷強化〉両スキルのレベルが上がりました》
《称号〈邪道〉〈処刑人〉を獲得しました》
《従者「とがの」の〈筋力強化〉がLv.2になりました》
変な称号出た。何それ?
……まあ、その前にまず、手を合わせて。なむなむ……
「こっちも終わったでー! あとどないしよー?」
えすとがはったさんらに呼びかけた。
◇
4人で相談中。俺は牛の【自動解体】して、出た物全部貰えることになった。
そこで、はったさんが聞いてくる。
「ジンジュ、お
「や~、やめときます。挑発しかしてないんで……」
「そうか。えすとは?」
「俺も遠慮します。
「おぉ、そうだったな。じゃボーゼ、俺らで分けるか」
「ほなそれで」
……というわけで、結果発表~!
《以下のアイテムを入手しました。
・ブラックブルの肉(中)×2
・ブラックブルの皮(中)
・ブラックブルの頭部(中)
・ブラックブルの魔石(微小)》
「ま~た生首ぃ~……」
「お、おう……」
えすとと2人でドン引き。マジか
……
罪もないのに
……え? 「人殺しとるやん!」? あれは返り討ち。
人食い牛とか聞いたことないし……雑に仕掛けたほうが悪いだろ ???
……ケッ、
「でー、安定の肉+1」
「ありがたいですね~、はぁ~い」
「情緒不安定か」
ネタはさておき、こっちはそんなもんかな。
お、あっちも終わったみたい。こっちに来たはったさんが一言。
「そろそろ出るか?」
「「「はーい」」」
じゃ、街行きましょ~。
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