016:青ゴブリン、初日を終える

 今回短めです(当社比)

――――――――――――――――――――


 順番ときは来た、それだけだ。

 ……はい、報告してきた~。


《継続クエスト「小兎を狩ろう!」他2題の報酬として、合計:20マニを獲得しました》

日刊デイリークエスト「複数の魔物を狩ろう!」をクリアしました。初回クリアボーナス:10マニを獲得》

《所持金残高:500マニ》


 1マニは約100円らしい。つまり……


「今日のおこづかい、さんぜんまんえん」

「「大阪のオバちゃんか!」」


 ツッコミありがとう。


 そしてありがたい。

 現代の時給で考えたら「やっす……!」て感じだけど、ここ物価もちょっと安めだし。

 あとウチお小遣こづかい月5000円だし。



 んで、『継続依頼クエスト:薬草の採取』を追加受注しておいた。

 とがのさんの〈採取〉スキルが火をく……かもね。知らんけど。



 あと、受付の人は前とおんなし人だった。怖かったで~す……



 ◇


 次は武具屋に行くらしい。

 それも、高レベル異人プレーヤー用達ようたし、って所に。

 なんでも、店長さんが“異人最高の鍛治師”って言われてるんだそうで。


 なお、ペット禁止。まあ、草もクソもないか……

 ってなわけで、とがのさん達とは一旦お別れ。草原に戻ってもらおう。


「「ほなまた」」

「ぴすぴす」

「ふんす」


「ほなじっとしといてなー。【送還】、ダイス!」


 えすとが唱えたら、ダイスくんを真ん中にした3羽が、そのまんま光に包まれて、帰っていった。


「ほな、俺らも行くコ~」

「「はーい」」



 ◇


「はいここ」

はっや !? も~着いたんか ?? 」


 中央広場から東の大通りに出て、2つ目の交差点を左に折れてすぐ、だった。

 で、店の中から手足の短いおっちゃんが出てきた。ひげ濃いな~……


「お? ボーゼじゃねぇか、よく来たな」

「おはようオッちゃん。早速これ頼むわ」

「はいはい、どれどれ……」


 流れるように、短刀の検分けんぶんが始まった。 ……間違いない、これは顔見知りの犯行(殴


「オメーまた手入れサボったな? ちゃんと【洗浄クリーン】かけろってあれほど……」

「……はい……はい……」


 んで始まるお説教タイム。

 ……と思ってたらすぐ終わって、おっちゃんがこっち見た。

 ていねいな標準語ソトヅラ・モード発動オン


「で、オメーさんがうわさの新入りくんか」

「はい、ミニゴブリンの“ジンジュ”です」

工人ドワーフの“オレーキー”だ。“オッちゃん”って呼んでくれ。よろしくな」

「こちらこそ、よろしくお願いします!」


 早速、検分の時間だ。でよ〈初めての大盾〉!

 ……うわぁ。改めてよく見たら……底がえぐれて、げついている。


 あつかい悪くてゴメンよ~!


「……ログイン初日でこの耐久値 !? どんな使い方したんだ君は ?? 」

「まほうつけて殴りました !! 」

「おぉ……それはなっとくです」


 おっちゃん、ノリがいい。小学校低学年ぐらいの滑舌かつぜつに、合わせてきた……。


「ええ歳こいて、何しとんねんアンタら……」


 ボーゼにツッコまれた。えすとは黙ってる。

 ……ボケを重ねるチャンスだな?


「おっちゃんおっちゃ~ん、これが“本場のツッコミ”っすわ」

「ふむ……流石さすがの職人芸だ」


 腕組んで、ふんふん、とうなずくオレーキーさん。

 カッコいいな、になる……


「仲ええのはいいんすよー、ボケ倒すんやめてもろて」

「「だ」」

「嫌だじゃねーですよ !! 」


 えすとのツッコミ入りやした~。

 閑話休題。


「オメーら、他あるか?」

「いや、大丈夫ッス!」


 オレーキーさんの問いかけに、ボーゼがこたえる。

 で、お会計。初めてってことで、俺の分はまけてもらった。


《所持金残高:450マニ》


「よし、じゃあこいつらは預かる。修復と強化……じゃ無粋ぶすいだな、治療と育成は任せとけ!」

「「「あざ~っす」」」



 ◇


 店出て、思わず一言。


「……眠い!」

「やろなー、色々あったし」

しょぱなからな。 ……ほな夜の部はパス?」

「せやな~。また明日」

「おっけー」



「「「ほな、お疲れ~」」」



 じゃあ、今日はこの辺にしておこうか――――


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