第5話 チョイスもセンスだよね!
店長のナオトは、物音がした巣の後方に立っている木に向かった。近くに行くと木の根元に小さな動物が横たわっていた。みかんの射撃が木に当たり、その振動で落ちたみたいだ。どうやら気絶している様だった。イタチみたいだったが白い毛で覆われていた。一旦写真を撮って竹村に転送した。
『竹村、画像送ったが何かわかったか?』
『ナオト、これ本当にいるのか?』
『ああ、目の前にいるよ、それがどうした?』
『すぐ、保護しろ!それはエゾオコジョっていって絶滅危惧種だ、環境省のレッドリストにも、載ってるぞ!』
『了解、確保したぞ。白いフェレットみたいでメッチャかわいいな!』
ナオトは、コートでエゾオコジョを包みホテルの作戦会議室に連れて帰った。
次にやることはエゾすずめが戻ってくる事を待つだけだった。明日、Q国の要人が到着する予定なのだが間に合うのか?という重い空気が蔓延していた。その最中、みかんがとんでもないことを口走った。
『てかさ、すずめを白く塗るよりわさ、代わりにぬいぐるみを設置するの、それでずっと居るとあやしまれるから私がスナイプして弾き飛ばせばして飛び立った様に見せればいいんじゃない。』
数十秒の沈黙の後、竹村が口を開いた。
『最悪それで行こう。よし、シマエナガのぬいぐるみも遠隔で操作出来る様にしよう。早速ラボに手配だ。』
ぬいぐるみの手配をしつつエゾすずめが戻るのを待つことになった。
翌日、エゾすずめは戻って来ず、そしてQ国の要人が既に到着して1時間が経過していた。するとしばらくして発注したぬいぐるみが届いた。
『牧村、届いたのはいいが設置はどうする?要人が到着する前にしたかったんだが、、、、だいたいお前がぬいぐるみの毛の材質にこだわったからだぞ。だいたい、遠くから見てんだからわかねえだろ。』
『いや、わざわざ見にくる位だから中途半端だと絶対にバレる。現に対応している外務省職員からの情報だと要人は窓に双眼鏡持ってへばりついてる様だ。だから迂闊には動けない。』
またも、重い空気が漂う中みかんは、保護したエゾオコジョを抱っこしながら言った。
『この子を使えばいいのよ。要人に見せてる間に店長がぬいぐるみを設置したら、しばらくして私がスナイプしシマエナガが飛んで行った様に見せる、完璧でしょ!』
『みかん、いけるぞそれで行こう!牧村、オコジョを外務省職員に渡して、要人に見せるタイミングで俺に合図するよう言ってくれ。みかんは合図が来たらスナイプしてくれ。』
竹村はオコジョを外務省職員に渡し、みかんはスナイプする非常階段に、店長のナオトはぬいぐるみを持って大通り公園の巣がある木に向かった。
みかんは配置につき、弾丸をライフルに装填した。この弾丸はあらかじめ威力が1/10に弱められており、ぬいぐるみに当たっても破壊されず飛ばされる程度に計算されていた。そしてスコープ覗き込んで巣を確認しようとした時、
『店長、もう設置したの?早いわね、でもこのぬいぐるみはよく出来てるわ。本物そっくり。やっぱぬいぐるみでもこんなにカワイイから実物見たらどうなるのかな。』
『いや、まだだ。もう着くけどな。』
『うそ!ぬいぐるみあるよ!』
『えっ、俺持ってるよ。あれっ、なんかいる。』
『竹村、至急巣を確認してくれ!何かいる!』
『ナオトッ、あ、あ、あれは本物のシマエナガだ!ぬいぐるみはあんな動きは出来ないし、現にお前が持ってるんだろ。ちょっと外務省職員に連絡する。』
『聞いたか、みかん。本物だってさ。』
『ほんと、かわいい。妖精みたい!』
『みかん、スコープから覗いてるんだろ。撃つなよ!』
『撃つわけないでしょ💢』
後に、竹村からシマエナガの天敵のエゾオコジョが前日にいなくなったから戻って来たんじゃないかとのことだった。また、外務省職員からはQ国の要人が本物のシマエナガとエゾオコジョが見れたので大満足だったとの連絡を受けた。
一方、みかんと店長はミッションが終わって食事に向かった。
『みかん、ひとつ確認したいんだけど休憩中に俺が教えたラーメン屋行ったのか?』
『えっ、なっなに?わかんないんだけど。』
『カリーラーメンはな、この辺じゃ、あの店しかやってないんだよ。バレバレだよ。ひとつ聞くけどライスは頼んだのか?』
『ま、まあね。お腹すいてたんだからいいでしょ!』
『そうだよ、最後にカリースープをライスにかけて食べるのが最高なんだよ!弾丸のチョイスは外すくせに、オーダーのチョイスは外さないってどういう事だよ!』
『あれは、店長も悪いんだよ、ややこしい記号にするから!』
『記号?』
2人は揉めながらすすきの方面へ向かった。
おわり
女スナイパーとシマエナガ?札幌出張中❗️ 夕哉圭シロー @yuyakeshirou
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