プロローグ3
自宅の住所まで歩いて行くと見覚えのあるアパートが建っていた。
外観は吃驚するくらい生前のアパートに似ていて、部屋番号もそのままだった。
驚きつつ2階へ上がり目的の部屋の扉を確認。
鍵を差し込むとカチャリと解錠され、恐る恐る手を掛け、ゆっくりとノブを回して扉を開ける。
・・・絶句した。
本当に別の世界に来たのだろうかと疑いたくなる程、生前?の俺の部屋そのままだったからだ。
中に入りあちこち確認するが記憶にある自分の部屋と全く同じものが同じように配置されている。
驚きに暫く固まっていたが、神様仏様ならこれくらい・・・
そう思うと、少し落ち着いてきた。そして最初の目的を思い出す。
取り敢えず何はなくとも先立つモノの確認をすると、背然と変わらぬ場所に通帳があった。
通帳を開くと中々の金額が記載されていたので一安心。
これで暫くは生活できる。
後は部屋の中のものの確認をしたのだが、同じと思っていた物は見た目と用途は大体同じだけど前世で使っていたものと全く同じと言う訳ではなく、よく似ている日用品だったり、同じ形の家電であってもメーカー名が何とも言えない胡散臭さを感じる名前だったりしてやっぱり別の世界に来たんだと感じた。
だけど、言ってしまえば感じる違和感はその程度で済んだ。
そんなこんなで初日を過ごしてから数日が経ちました。
なんだかんだでここでの生活にも大分慣れ、隣近所への挨拶も済ませたし、生活圏の把握も大体できた。
凡そのライフラインも確保できたと思う。
あと、通う予定の大学の場所も確認したので抜かりはない・・・筈だ。
ただ、通う学部がDT学部となっていて内容がよくわからない。
まぁ、通えばわかるだろう。
そんな感じである程度状況を把握すると細かい事にも気付き始める。
街中を歩いていて気付いたんだが、何となく男性が少ない気がする。
そう思って意識して周りの人を確認しながら歩けば、男性が少ない反面、女性の姿は前の世界より良く見る気がする。
それにスーパーなんかの店員さんは女性しか見ていない。
その事をスマホで調べたら男女比がおかしかった。
男女比が1対3。
つまり4人に1人しか男がいない。
虚空蔵菩薩様、中々に設定盛々のぶっ飛んだ世界に送り込みましたね・・・
そんな事を考えていると知らない内に視線は天に向いていた。
因みに街中を歩く際は路地裏には近付かないようにしている。
少し前、散歩中に道に迷って路地裏に入ったら、なんかヤバそうな雰囲気の集団に追いかけられたので俺は逃げた。
追いかけてくる連中はかなりしつこく最終的に交番まで逃げ込んだお陰で事なきを得ることができたのだが、今でも思い出すと少し寒気がする。
治安は生前の日本の方が断然上に思える出来事だった。
『君子危うきに近寄らず』ってやつだ。
一応そんな感じで生活についてはある程度把握したんだが、一つだけ、どうしても躊躇ってしまうものがあった。
スマホのアプリなんだが、何とも怪しい・・・と言うか、危険な香りがするアプリが一つだけあった。
そのアプリのアイコンはどう見ても虚空蔵菩薩様の満面の笑顔だったのだ。
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