第48話 翻弄される葵

1回が終って元別高校 0対0 鈴丘学院

両校共に三者 三球三振という珍しいスタートを切ったのだ!


『ペットは飼い主に似る』というけど、『選手は監督に似る』んかな?

『監督は師匠に似る?』

はい♪真面目に野球をしましょね~


そんでもって2回表 元別高校の攻撃は4番からなのだ

だが、体力十分の涼音ちゃんの前に三者凡退

また、鈴丘学院打線も後藤投手の前に、4、5、6番が

いい当たりはするものの野手の正面なのだ


速球派の涼音ちゃんと打たせて取る後藤投手の投手戦になり、

5回が終って元別高校は散発2安打とエラー走者のみ

鈴丘学院は3,5回のチャンスに決定打がでず

元別高校 0対0 鈴丘学院


葵「完全にのまれていますね・・・」

瑞穂「向こうの思惑通りに打たされていますわ」

抜けると思った打球は野手正面が続いているのだ

つまり、そこに飛ぶように打たされているのだ


終盤の6回表の元別高校の攻撃なのだ

1回戦、2回戦の元別高校は相手投手の疲れが見える終盤で

得点しているのだ

だが、今日の涼音ちゃんは尻上がりに調子が上がり、

球速、球の切れが上がってるのだ


7番打者

初球のアウトコース低めストレートを逆方向に打ち返すもライト正面!

涼音「危なかった~」 1アウト!


8番打者

初球 インコースの速球を強打! ファール! 0-1

二球目 真ん中低めのストレートを強打! 

三遊間を抜けてレフト前ヒット! 1アウト1塁!

涼音「あのコースを・・・」

葵「そろそろか」


9番打者

2球続けてストレートをファール! 0-2追い込んだ!

3球目 インコース低めスライダーを見逃し ボール 1-2

4球目 アウトコースを外に逃げるスライダー 見逃し ボール!

釣り球に誘われず! 2-2

5球目 アウトコース低めストレートを右方向へ強打!

ライトが後方にさがりながら、ランニングキャッチ!

1塁ライナーがタッチアップで2塁へ! 2アウト2塁


葵がサインを出し、大橋監督は1番打者に打ての合図


初球 インコースのスライダーを躊躇ちゅうちょなく振り抜き

速い打球が二遊間を抜けていく~!

葵「くそ、読まれた!」


スタートを切っていた2塁ランナーが一気にホームイン! 

元別高校1点先制! 2アウト1塁!


元別高校 1対0 鈴丘学院

遂に試合が動いた~

歓声に沸く元別高校ベンチ、応援席なのだ


葵「すまん!スズ!やられた!」


女子野球の投手は年々、球速が速まり、元別高校は速球対策を徹底して大会に臨み

1,2回戦では速球派投手を終盤に攻略して勝ち上がってきたのだ


元別高校は一貫してストレートを狙っていたが、

涼音ちゃんはここまでストレート主体の投球パターンで、

元別打線を力でねじ伏せていたのだ


タイミングが合ってきた時に出した葵のサインが読まれて

初球が狙われたのだ


続く2番をサードゴロに打ち取り3アウトとなるものの

1点を先制され、鈴丘学院の攻撃は残すところ2回

6回裏は期待の4番 瑞穂からなのだ


が・・・

大橋「ピッチャー交代!山本」

なんと打たれながらも好投を続けてきた後藤投手をさげて

2番手に山本投手を起用したのだ

速球は早いものの、コントロールが定まらず、下手をすると自滅の可能性もある

ただ、魔球ナックルを操るのだ


葵「難しい相手が出て来たな」

美玖「配球どころか、どこに来るか分からないね」

葵「狙い球を絞れない」


4番 瑞穂 4球続けてボール ファーボール! 0アウト1塁

5番 麗奈 3-1からナックルに手を出し、ショートフライ1アウト1塁

6番 結菜、7番 美玖が続けてファーボール 1アウト満塁!


8番 彩音 

ここで葵が動くのだ!打ての動作をしながらサインは『スクイズ!』

1球目 アウトコース高めにバットを出すもファール! 0-1

2球目 キャッチャーが立ち上がり、大きく外す 1-1

3球目 バンドの構えもインコースストレートを見逃し ボール 2-1

4球目 アウトコースストレートが外れ ボール 3-1

5球目 真ん中高めのストレートを見逃し ストライク! 3-2

フルカウントになったところで葵がサイン『スクイズ』

6球目 ど真ん中に緩い球!ナックルだ!

しおりがなんとかバットに当てるものの、小フライ

キャッチャーが捕球して3塁へ送球!走者アウト!ダブルプレー

3アウトチェンジ!


葵「あそこでナックルなんて正気か?」

涼音「信じていたんだろうね」

葵「オレにはまだ無理だ」

涼音「まだ終わってないよ、葵」

葵「ああ、分かってる」


~つづく~

7回裏 鈴丘学院最後の攻撃

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