第35話 これで有名人?

取材陣の期待を裏切り、

次世代アスリート紹介番組の取材に

イケメン女子スタイルに戻した涼音ちゃんが現れ


いつもより増し増しの男気で

荒々しい落武者のような涼音ちゃんに

インタビューが始まるで~


クルー1「河野さんが野球を始めた切っ掛けは何ですか?」

涼音「はい!お父さんが大の野球好きで

   私が野球チームに入ったら、毎日大好きな”ガプリコ”を

   買ってくれる約束をしてくれたからです」

クルー1「優しいお父さんですね・・・」


クルー1「中学はソフトボールに転向したそうですが、

     何か理由があったのですか?」

涼音「はい!給食が美味しい学校に入学したら

   野球部が無かったんです」

クルー1「美味しい給食ですね・・・」


クルー1「では、鈴丘学院を選んだ理由はいかがですか?」

涼音「はい!津旅監督の野球に憧れて入学しました」

クルー1「今の工藤監督はクラスメイトだそうですが

     いかがですか?」

涼音「大好きな”きゅんきゅんパフェ”を無限に

   おごってくれるので最高です

クルー1「パフェいいですね・・・」


クルー1「投手をされていますが、決め球はなんですか」

涼音「スーパー涼音Zゼータに覚醒した時の直球です!」

クルー1「Zゼータ・・・凄いですね・・・」


クルー1「では、最後に鈴丘学院はどんなチームですか」

涼音「監督とメンバーの距離が近くて、とても仲がよくて

   まとまったチームです!」


その近くで・・・

「このくそエロばか監督!どこ見てんのよー!」

「日焼けするからキャップの帽子は嫌だ!って言ってますわ!」

「美玖!海の悪口言ってんじゃないわよ!」

「飛鳥さん!カメラ意識しずぎよ!」

「先生こそ、エロアピールしすぎですよ!」


クルー1「いや~本当に仲がよさそうですね~・・・」


クルー2「では、練習風景を撮らせて頂けますか」


葵「じゃあ、みんな守備について!

  うちはグラウンドが共有で内野ノックが精一杯なんです」

クルー2「外野はどうしてるんですか?」

葵「はい、ホッケー部に頼んでレフト線だけを一時的に

  開けてもらっています」

クルー2「大変ですが、工夫されていますね」

葵「じゃあ、始めますね!

  飛鳥!ボール」

飛鳥「はい!」


ボールが落ちる音 

葵「すみませ~ん、緊張しちゃって♪」


葵がボールを拾って始めるで~

葵「5-4-3!」

スイングの音 ブン!

ボールが落ちる音 


葵「あれ?」


スイングの音 ブン!

ボールが落ちる音 


葵「あれ?」


コン! ゆるい球がサードに転がるで~

「田中 瑞穂 主将!2年

 この華麗なフィールディングをご覧あそばせ~」

後ろに、ころころころころ


葵「6-2-3」

コン! ゆるい球がショートに転がるで~

「山口 美緒 2年

 るるるるるん♡私の送球受けてるるるるるん♡」

後ろに、ころころころころ


葵「4-5-2」

コン! ゆるい球がショートに転がるで~

「瀬尾 希実 1年

 土星に変わって!お仕置きよ~私の送球を受けてみなさ~い」

後ろに、ころころころころ


ホッケー部の人

「すんませ~ん、さっきからボールが

 いっぱい転がってくるんですけど、

 ちゃんと取ってくださ~い」


葵「すんませ~ん。ちょっと緊張しちゃって♪えへ♪」


取材陣【・・・】

   「そろそろ、帰ろうか。。。」


倫子「いやいや、打撃練習も見て行ってください♡」

またまた、バックネットに向けて打つで~

投げるのは、葵と美玖なのだ

葵「美玖、60kmくらいで投げろ

  声だけ110kmの感じで行くぞ」


バッターは涼音と麗奈さんやで~

葵「じゃあ、スズ!行くぞ」

 「どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ぴゅ~~~~~~~♪

コン!

ホッケー部の方へ、ころころころころ


美玖「麗奈さん、行きまーす」

  「うぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ぴゅ~~~~~~~♪

コン!

ホッケー部の方へ、ころころころころ


ホッケー部の人

「すんませ~ん、またボールが転がってくるんで、

 ちゃんと前に打ってくださ~い」


取材陣【・・・】

   「帰ろう。。。」

倫子「ちょっと、待ってください

   最後に河野さんの投球を見てください」


スズの投球を葵が受けて、麗奈さんが美玖を受けるで~

涼音【葵のやつ。。。ファスナーが開いてる!

   座ったら全開じゃない!

   このままじゃ、彼氏の股間が放送される!】


涼音ちゃんが葵に低めのフォークを投げる

サインを出すで~

【よし、そこにミットを構えたら、映らないはず!】

【スズのやつ、なんでサイン出してんだ?】


「葵ちゃん!行くぜ!

 どぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

「しまった!ひくすぎる~~~!」

100kmを超えるボールが葵の直前でワンバウンド!


股間をジャストミート!キーン! ころころころ

「昇天。。。あへあへあへ」

股間を抑えて悶絶もんぜつする葵であった チーン


「よかった♡これで股間は映らないから、結果オーライね♡」


その頃、カメラの前には我先に映ろうとする女子部員が群がり、

セクシーアピールする倫子先生も加わり、

もはや取材どころではないのだ。。。


取材陣【ダメだこりゃ。。。

    もう、顧問の先生と監督のインタビューはいいや】


倫子「放送はいつですか?」

クルー1「あ、決まったらご連絡します」【放送できるかな?これ。。。】


TV局から連絡で、夕方ニュースの1コーナーで放送が決まったで~


放送日、練習後に校長室に集まってTVを見る野球部員なのだ

怜校長「あ!始まったから、お静かにね!」

すると、インタビュー部分は一切なく、

①葵がノックのバットを振る瞬間

②内野がノックボールを取る前の動作

③涼音が投げる瞬間のフォーム

④思いっきり引いた練習風景

⑤なぜか、胸元にの入った倫子先生

⑥なぜか、股間にの入った葵監督


「あれ?これって元々、30分番組じゃなかったっけ?」


「たった1分?」

TV局の苦心の編集により、

かろうじて1分の放送ができたのであった


TVの前で

「スズ先輩♡」「工藤(葵)さん学院にいたんだ」

「先生、美人♡」「マネージャー女子、可愛い♡」「楽しそう♪」

「簡単にレギュラー取れそう♪」


~つづく~

一応、効果はあったみたいでんな♪知らんけど

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る