白く光る太陽と、静かな存在の実感

三角海域

白く光る太陽と、静かな存在の実感

花見へ向かう家族連れの微笑ましさ。

裏道へ入った時に感じる静けさ。

小さな駐車場とそこに咲いている花。

歩道橋と工事現場。

神社から見渡せる道路。

献血を待つ若者が見つめるスタバの列。

やよい軒で食べたサバの味噌煮。

友人がLINEに貼った綺麗な桜の写真。

鳥居と桜。

工場の中から聞こえてきた「 Let It Be」。

コインランドリーの前を通った時に感じたいい香り。

薄い雲の向こうで白く光る太陽。


一日通して見れば、なんてことのないもの。

けれど、こうして見たもの、感じたものを並べてみると、決して「なにもなかった」わけではない。


白く光る太陽を川のそばで見た時、心にこみ上げてくるものがあった。

起伏はない。達成感もなければ苦しみもない。

ただそこに自分が居る「だけ」という感覚。


孤立と孤独は違うということ。言葉の意味ということではなくて、自分の在り方としての違い。

いまこの瞬間に感じている孤独。きっとそれが、心にこみ上げるものを作り上げている。


孤独が生んだ感情。それは、確かに今ここにいるという「存在の実感」なのだと思う。

僕はここにいる。ここにいて、こうして生きている。


この一日は平坦かもしれない。だが、歩くのにはちょうどいい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白く光る太陽と、静かな存在の実感 三角海域 @sankakukaiiki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ