第22話 祖父稔
過去に遡ると350年以上前の江戸時代初期の1669年に蝦夷(現在の北海道)を実質的に支配していた松前藩とアイヌ民族の間で、大規模な戦闘「シャクシャインの戦い」が勃発した。
その時女子供にまでに、その魔の手は伸び、多くのアイヌの血が流れ未既婚にかかわらず強姦されて殺害された。そこで…シャクシャインの5番目の妻の娘ノンノがユキと名を偽り。松前藩の最も重要な要人2人に近付こうと報復に向かった。
松前藩の最重要人物2人を美貌でたぶらかし夢中にさせて争いの種を作り、殺害させるという手法で、松前藩を牛耳っている才知溢れる松前藩の頭脳である筆頭家老秀則が、松前藩の実質上の藩主高晴によって殺害されてしまった。
松前藩はお金の計算を誤魔化すことや、今までの配当を極端に減らすなど滅茶苦茶な方法でアイヌを追い詰めて行った。一方の松前藩は交易品を売りさばき収入が一気に増大していった。
ノンノ(ユキ)は実質上の藩主高晴との関係を深めて行き、油断させて、我らアイヌから卑怯な手で安く叩いて、ただ同然で取引した交易品を盗み出そうと考えた。そして、その盗んだ品を他藩に売ろうと考えた。
松前藩がアイヌとの交易を独占し、やりたい放題している事は分かっていたからだ。こうして…高晴をノンノの魅力で引き付けて、交易品の在処を探り当てようと画策した。
「ワシは江戸城に人質になっている妻が永遠に帰って来ないことを望んでおる。それだけユキを愛しているということだ。ワシはユキが全てだ」
「それは私も同じこと。高晴様が私の全てでございます。もっと強く……もっと強く……抱いてくださいませ💝💞💋」
ある夜のこと、この美貌と肉体で高晴を魅了し色仕掛けで骨抜きにしてしまったユキは、次の狙いであるアイヌから安く叩いて得た交易品の数々がどこに有るのか、聞き出そうとした。
「ねえ~ブチュッ💋うっふん💝💞ユキはアイヌから得た髪飾りや、装飾品の数々が欲しいのです。今度一度その在処に連れて行って欲しいのです。そして…この目で見て選びたいのです。いいでしょう?ブチュッ💋」
「ユキは本当に可愛い。おねだりも最高だ。でも……そこには連れていけないな。宝物が一杯あるので……例え側室と言えどもその場所には連れていけない」
「プン😡プン😡もう私占い師辞めて、このお城を出て行きます。私の占いの力で占領してくる他国からも蝦夷を守ることが出来たのに……もういいです。出て行きます!💢💢💢」
「ああああああ……分かった!分かった!連れて行く」
こうして…居場所を教えてもらったノンノは、アイヌたちに居場所を教えて徐々に盗み出すことを指示した。
「皆のもの我らの品物を独り占めして良い思いをした松前藩に敵討ちだ。良いか?いっぺんに盗み出したらバレるので徐々に盗み出し、盗み出した場所には葉っぱでも袋に詰めて交易品に見立てて置いておけ!」
こうして…品物を盗み出したアイヌだった。
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「オイ!交易品が葉っぱに代わっていただと―――っ?許せぬ!徹底的に犯人を見つけて成敗しろ!」
こうして…犯人割り出しに動いた藩士たちは、やっとのこと突き止めることが出来た。海から宝の在処に侵入して交易品の数々を奪っていった犯人はアイヌだった。
水草や藁などを被ってカモフラージュし、水中に潜み竹筒や鞘で息をすることで、水面から姿を隠し侵入に成功した。水遁の術と言って竹筒で呼吸して水中に隠れる技だった。そして…泳いで城に侵入したのだ
これを知った高晴はひょっとして犯人は、最近宝の在処を教えたユキかも知れないと悟った。
「 オイ!占い師のユキは最近見掛けないが、どうしたのじゃ?」
「そうなのです。ここ数日お城に顔を出しておりませぬ」
「直ちにユキの家に行って来い!」高晴は慌てて使いをユキの家に送った。
暫くすると家来が慌てた様子で戻って来て言った。
「タタタタッ大変です!高晴様。占い師ユキの家はもぬけの殻でした」
「ぅうううん!💢💢💢許せぬ!あの女を追え!徹底的に追い詰め探し出してここに連れて来い!」
実は…その時ノンノはアイヌ集落から離れた。他藩の藩士の家に助けを求め逃げていた。
松前藩はゲベール銃(小銃)と刀を持ち、血眼になってノンノの居場所を探し回っている。蝦夷の至る所を探したが見当たらない。そこで今度は、更に足を延ばして東北各地をくまなく探した。
そして何ということだ。その時すでにノンノは妊娠していた。それは高晴の子であった。
この後のノンノのことは徐々に暴き出されるが、その前に屯田兵となった隆之介が1875年に蝦夷に渡りナミと恋に落ち、結婚の約束までしたのだが、愛し合う2人が海辺で戯れ隆之介が目を離した隙に事件は起きた。
何ということだ。ナミは砂浜で数人の男に囲まれて強引に連れ去られてしまった。
その後ナミの 消息が杳 として知れない。一体どこに……
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過去、現在、未来と、このノンノそして…ナミはどのように海斗家族や千秋家族と関わって来るのか
そして…竹下通りで会った、どこかで会ったことのある少女と、20年前に叔父さんの家で見た写真の少女とのかかわりとは一体どの様なものなのか?
実は…ここで意外なことが分かって来た。
この2人の少女には海斗の祖父稔が関係してくることが分かった。そこには複雑な恋愛模様が隠されていた。そうなのだ。海斗の祖父稔には秘密が隠されていたのだ。
海斗が僅か3歳の頃叔父さんの家で1枚の少女の写真を見せられて父亮と叔父さんが罵り合っていた。僅か3歳の時に叔父さんの家で海斗が見た1枚の写真の少女を、偶然にも竹下通りで見てしまった。
ここにはどんな秘密が隠されているのか?
「一体何が有ったのですか?1枚の少女の写真を叔父さんが父に見せて、あの日恐ろしい顔で罵り合っていた事だけは覚えています。でもその事は叔父さんは余程言いたくないようですので、もう諦めます。でも、既に20年も経つ現在にあの少女が蘇るなんて絶対変です。だから……もう一度あの写真だけでも良いので見せて欲しいのです。だって僕がその時の少女にそっくりな少女に会ったと思っていても、ひょっとしたら全く違っているかも知れません。だから……その為にもお願いです。もう一度だけ写真が見たいのです。ともかく写真だけでも見せて下さい」
「分かった」
そう言うと叔父さんは二階に上がり暫く待っていると、古びたアルバムを持って現れ海斗に手渡してくれた。
「あっ!やっぱりあの竹下通りで会った少女にそっくりだ」
いつも穏やかな叔父さんの顔が恐ろしい顔に豹変した。
過去に一体何があったというのか?
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「過去・現在・未来」が1つになった時に真実が見えてくる。まず過去の出来事を掘り下げて行くしかない。
海斗の父が夜遅く帰宅するようになった事で、母とのいさかいが頻繫に有った。
これは後で分かったことだが、父亮が女性問題を引き起こしたという以前に、恐ろしい事実が判明していた。実は…祖父稔は大きな過ちを起こしていた。大学生の時に女性を妊娠させて、その子が海斗の父亮だというのだ。
そこにはどのような変遷が隠されているのか、この時点で知る由もなかった。
20年前に叔父さんの家で見た写真の少女と、竹下通りで見かけた少女が瓜二つということは血の繋がりがあるのだろうか?
あの時海斗は僅か3歳だったので、話していた内容は全く思い出せなかったが、記憶の断片に、父と叔父さんの言い争いの激しさだけはハッキリと耳に焼き付いている。
だが、最近ふっとある言葉だけを思い出した。
「妊娠させた!!!」という言葉だ。
海斗は叔父さんの家で見た写真と竹下通りで会った少女が、余りにも酷似している事に多方面から考えてみた。
こうして…あの歳当時の出来事に思いを馳せたが、何故叔父さんの目があんなにも怒りに震えて、そして今にも爆発しそうな程大きな声で、何か怒鳴り散らしていたのか、理解できない
そして「妊娠させた!!!」一体どういうこと?
そして…もう1つ思い出したことがあった。そうなのだ。今ハッキリと思い出した。その写真の少女の写真の裏に日付が書いてあったことを……。
ラッキー7の7が並んでいたという事を……。
だから7777なのか?1777なのか?,1977なのか?大きな文字でそう書かれてあった。まだ赤ちゃんに毛が生えたような海斗が何故数字が分かったのかと言うと、母が教育熱心で数字を教えていてくれたからだ。
あの時ひょっとしたら3歳半くらいだったかも知れない。覚えたての数字に凄く興味があり覚えていた。
そして…1977年であれば父亮が誕生した年だ。
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