貴方のことが好きだから

@nyoronyro

第1話

 私の方が(彼の事)最初に知っていたのに。

 こういうのってW S S私の方が最初に知っていたのにって言うんだっけ?

 とにかく、私が彼の1番だってこと。

 24時間365日、寝ても覚めても彼に夢中。

 ここまで人を好きになったのは何時以来なんだろう?

 並み居る強敵を押しのけ、彼とは絶賛同居中。

 これ以上他に、私以外の悪い虫が付かないよう目を光らせなくちゃ。

 

 あの女狐め、私の彼に手を出すなんて信じられない。

 見てるだけならまだしも、色目を使って誘惑するなんて許さないんだから。

 少しばかりスタイルがいいだけの女なんて彼には似合わないわ。

 彼の隣に立ってもいいのは私だけなの。

 

 ふう、よかったわ。

 何とか話し合いで解決できた。

 最後、私を見て怯えるように走り去っていったけど失礼しちゃうわよね。

 少しばかり怖い目にあったからって、すぐあきらめるなんて。

 まったくもって彼にはふさわしくないわ。

 困難に立ち向かう勇気もないなんて、本当に好きかどうかも疑わしいし。

 こんなのに時間を取られてる暇なんて私には無いんだから。

 早く彼の元に戻らなくちゃ。

 



 嘘でしょ……彼が死んだって。

 あの女に会うまで彼と一緒にいたのに。

 うわごとのように何かを繰り返し呟き歩きながら、急に道路に飛び出して車に轢かれたって。

 彼の隣で過ごして、一緒に笑いあって、年を重ねて、歩んでいけると信じてたのに。

 そんな日がいつまでも続くと思っていたのに……

 彼の生活をもう見れなくなるなんて、私は何を人生の目的にすればいいのかしら?

 これからの人生、彼より素敵な人に巡り合えるとは思えないし。

 

 


 でも一つだけ良いことがあったの。

 それは彼が私と同じになったこと。

 

 

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