天使のささやき

反省期間を終えたサリーは、

「今度こそ失敗しないように」と心に誓って、地上へ降り立った。

もちろん今回は、人間の姿にしっかり変装して。

公園には、蘭ちゃんがいた。

「こんにちは。」

「こんにちは。」

蘭ちゃんは笑顔で応えてくれた。

サリーは、思い切って言った。

「私と、友達になって。」

蘭ちゃんはにっこり笑って、こう答えた。

「うん、いいよ。一緒に遊ぼう！」

その日、ふたりはたくさん遊んだ。

笑い合って、走り回って――サリーは、心から楽しかった。

「また、明日ね。」

そう言って、蘭ちゃんは手を振りながら帰っていった。

明日…。

サリーの表情が少し曇る。

天界から地上に降りられるのは、月に１～２回と決められている。

明日また会ってしまうと、次は来月まで会えないことになる。

「うん…」

少し寂しげに答えて、サリーは天界へ戻った。

「私が人間だったら、毎日蘭ちゃんと遊べるのに…」

そう思ったサリー。

けれど、彼女には大切な役目がある。

人間を天国に導いたり、道を踏み外しそうな人を正しい道へと導く――それが、天使としての使命。

悩んだ末、サリーは決めた。

「もう、友達にはなれた。

たまに地上に降りて、蘭ちゃんと遊ぶだけでも、私は十分幸せ。」

天使としての使命を大切にしながらも、

大切な友達と過ごす時間も大事にしたい――

サリーは、そう心に決めたのだった。

おわり