自分が作った物語の世界に転生!?おい、過去の俺!バッドエンドにしたこと恨むからな!?
空澄
第1話 俺の罰
目を覚ますと、映ったものは見知らぬ天井だった。
(……過労でぶっ倒れのか?)
ぼんやりとして意識がままならない中、
耳元に聞き覚えのない誰かの声が響く。
「産まれた…!産まれたぞ!」
「…良かっ……たぁ」
男性の喜びに満ちた叫びと、
女性の安堵したような涙声
それは、他でもない俺に向けられていた。
いつもの身体とは違う、大きな違和感
身体が…小さい。動かせない。言葉も発せられない
まさかな…と思いつつも、嫌な予感は的中する。
(俺、赤ん坊になってる…?)
うん、ちょっと待って?どういうことかな???
いやいやいや、こういう時こそ冷静に、だ
1回状況を整理しよう、落ち着くんだ……
昨日の夜、俺は確かに自分の家で課題を終わらせ、
動く気力もなくそのまま机で眠ったはすだ。
それなのに、目が覚めたら?
知らない場所で、赤ん坊として産声をあげていた?
(OK、意味がわからんな)
もう、考えたら負けな気がしてきた
どうせ考えても分からんのだから…
なんか眠いし…いいや、このまま寝てしまおう。
思考を放棄し、目を閉じることにした。
―――――――――――――――――――――――
あれから、5年の時が経過した…。
その年月の中で、俺は
この世界に魔術が存在することを知った。
そして、俺が住んでいる国は
水に浮かぶ国 "アクアリア"と呼ばれ、
この国の王女の名前は
"セレネ アクアリウム"。
そんな少女の名、国の名を初めて聞いた時、
俺は思わず息を呑んだ。
―俺はその名前を知っている。
アクアリア、セレネだけじゃない
この世界に存在する7つの国の名前、
そしてそこの王女達全員の名前が
かつて俺が作った物語と全て合致する。
…俺が作った物語の世界、
ということで間違いは無いだろう。
だったら、だとするならば…
(これは、ただの転生じゃない。これは"罰"だ。)
俺が作った、"魔を討つ者の冒険譚"という物語は
完結こそしていないが、
バッドエンドになるように作られた物語だ。
俺は、この世界の多くの人々の殺し、
その運命を自分勝手に弄んだ。
だからこそ、罪。
この世界に生きる人々は、
ただの登場人物などではない。
彼ら一人一人には、命がしっから宿っていて
喜び、怒り、哀しみ、楽しめる
俺と何一つ変わらない人間だ。
だから俺は、この世界を変えてみせる。
「これは、ハッピーエンドを迎えるまでの物語だ」
「?何言ってるの?」
「…母さん、聞こえないフリして欲しかったよ」
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