第12話

目の前には何気ない生活の光景が見える。



ランドセルを背負う子供達の楽しそうな笑顔。


その側を仕切りに手首を見ながら歩いている人々。


その中には。 


綺麗に着こなすスーツ姿の男性や、会社の制服を着ている女性が慌ただしく足早に歩いていく。




中には雑誌に載っているようなお洒落な衣服を身に着け、髪型から靴まで綺羅びやかに光らせながら、ゆっくりと歩く男女もいる。


今は、歩きスマホなんて言葉は主流になってしまっているのか、時間に余裕のある人達はやはりずっと携帯の画面を見ながら歩いていた。



一昔前までは、携帯なんて無かったのに。


一度手に取り入れてしまえぱ誰もが持つようになってしまう。



目の前では、ランドセルを背負っている子供達が何か会話をしているのが聞こえてきた。




『昨日のヨシコさん見た?』


『見た見た!あれ、続きどうなるんだろう?』


『決まってんじゃん!アイツが現れるんだよ。』


『やっぱりか。』


落胆しているように聞こえつつも、どこか楽しみにしている声音。



今流行りのドラマの話をしているらしい。



頬を上気に染めて会話する子供達の後ろで、微笑ましく思いながら歩く。



人の視線ってなんとなく気配で気づく。


バレたら、睨まれるかもしれない。


会話には興味はあるけれど、無関心のフリをしなくてはいけないよね。


気をつけなくては。


ドラマかぁ。


最近は、全く見なくなっちゃったな。


懐かしいな、私も昔はあったよね。


友達との何気ない会話をしながら行動をする。



そういえば、夏穂ちゃん、元気かな。


遠い昔の事をふと思い出す。

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