第10話

今、住んでいるのは六階建てのアパートで、その一部屋を借りている。



学校からは近くて、周辺にはコンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアがある。



なんていたれりつくせりの物件なんだろう。


私は住んでいるだけで、支払っていない。


よく考えてみれば恐ろしい!


しかし、この家賃はいったいどこから払っているのか。



あの世界の人達も、人間のフリをして住むんだから衣食住は必要よね。



なんだか怖いから詳しい事は聞かない事にする。



ま、エレベーターなんて贅沢な移動手段がないだけいいよね。




以前は、集合住宅に住んでいたけど、マンションで、しかも、オートロック付きだったよね。



今は、違うけど、イマイチ集合住宅には慣れない。




ふわりと髪を靡かせて歩いていく。



しかし、腰まで編み込みする高校生って、今時いないよね。




「目立たないように、ね。」


小さく呟いてみる。



どこの時代の高校生なんだろうって自分でも思う。



でも、私は決して目立ってはいけない。



“見世物になりたいのか。〝


冷静な眼差しで見ていたあの男の言葉は納得だ。



目立たないように、かつ、普通の高校生として生きていく。



その選択を取ったのは誰でも無い。


私自身なのだから。



階段を降りていくと、一階の通路側に人が見えた。


いわゆる、井戸端会議ってやつだ。



「朝から元気だなぁ。」


賑やかにお喋りをする女性達の姿が見えて、思わず呟いてしまった。



なんの話かわからないけど、私は苦手なのよね。

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