第4話

「自覚って、私は…………」


言葉を発する前に身体がふわりと浮くのがわかった。


まるで、しゃぼん玉のように、ふわりふわりと浮く。




こういう事をするのはただ一人。



まるで楽しむかのように眺めて鑑賞する人物は、足を組みながら黒い笑みを浮かべている。



テレビの近くにある椅子に深く腰かけている姿に、苛立ちを隠せない。



「降ろしてくれませんか?今から学校へ行かないと行けないんです。遅刻をするじゃないですか!」


抗議をしながら眺める人物を睨む。



ふわふわと浮き上がる身体は天井に届きそうだ。


下手したら頭をぶつけてしまうかもしれない。



「いい眺めだな。」


睨まれている事に慣れているのか、更に深い笑みを浮かべる。



ふわふわと浮き上がる女の子を見て楽しいですか?



あの世界の人達に伝えたいです。



目の前にいる人は変態だと。



「誰が変態だ。教えて上げるんだよ!降りたければ自分で降りろ。遅刻をするんだろ?ほら、急がないと、学生さん。」


見透かしたように、クスクスと笑いながら見る目の前にいる人物に軽く殺意が湧く。



「出ていってください。私はあなたを認めていない。第一、勝手に部屋に入るなんて不法侵入に入りますよ。」


「不法侵入、ねえ?勘違いされては困るが。君の監督責任者は俺だ。学校へ行けるのも俺の配慮が無いと無理だしな。人生には、いろいろと勉強も必要だろ?仕方がない。出ていって貰いたいらしいから出ていくか。」


ふぅとわざとらしく溜息をつき、漆黒の黒い髪を無造作に掻き上げながら、ちらりと私を見る。



心なしか口角が歪んで見えるのは気のせいではないはず。




「嫌われているみたいだから出ていくか。」


おもむろに立ち上がったかとかと思えば、足早に玄関へと歩いていく。



「ちょっと!降ろしなさい、降ろしてってば!」


ジタバタしながら再度非難を込めながら、叫ぶように声を出す。



「誰に向かって言っているんだ?まあ、頑張ってくれ。」


ひらひらと手を振り背中を向けたまま出ていってしまった。




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