(2)翔太、かほの思い出を語る

 みきが働くキャバクラにフリー客がやってきました。みきが接客することになったその客は他ならぬ翔太。ふたりの会話は続き、翔太が告白した時の話に。(須藤彩香)


みき:それでね、翔太さん。またかほさんの話に戻るんだけど、わたしはかほさんはビジネスライクな対応だと思ってたのね。だけど、そんなかほさんが昔のお客さんの名前をつぶやくんだって驚いたわけ。

翔太:かほがビジネスライクだって?

みき:わたしにはそういうふうに見えたのね。きちんと売上も本数も上げてたけれど、どこかさめた雰囲気だった。それに、いつもつかれた感じだったけれど、数字に追われてたらそれも仕方ないかもしれない。

翔太:あの業界で売れるのも大変だよね。

みき:翔太さんが指名してた頃のかほさんって、どんな感じだったのかな。

翔太:ビジネスライクな感じではなかったよ。はじめて指名して会った時、かほが透き通った瞳をしていて、かすかにほほえんだその瞬間にひとめぼれした。

みき:すてきな出会いだったのね。

翔太:そして2回目に指名した時、小柄なかほが一生懸命背伸びしてキスしてくれたんだ。この瞬間、自分が恋した相手に間違いはない、と確信した。あとは指名するたびに、だんだんプレイが濃密になっていった。

みき:なんか、だんだん親しくなっていく恋人同士みたい。

翔太:まさにそれ、といっても彼女歴なし=イコール年齢のぼくにとっては、そのころはどういうのが恋人同士になるプロセスか、わからなかったけどね。

みき:恋人になるプロセスがわからないのは、そのころだけじゃないような気もするけど。翔太さんからかほさんに告白したんだよね。

翔太:そうなんだ。5回目の指名のときだったと思うけれど、今日こそ告白すると決めて店に行った。だけどね、ついつい愛情表現プレイに熱中しているうちに告白するのを忘れそうになってね。あわてて愛情表現プレイを止めてもらったんだ。

みき:そのまま時間にならなくてよかった。

翔太:そうなんだよね。それでね、かほと向きあったんだ。声がふるえちゃったけど好きだって伝えたら、かほも初日からひとめぼれだったって。あのときほど心が通じあったことを実感して、うれしかった日はないな。

みき:今でも覚えてるものなの?

翔太:それはもちろん。今でも覚えてる。もしかしたら、過去の記憶だから自分に都合よく書き換えられてるかもしれないけどね。

みき:ところでね、告白するのはいいんだけれど、翔太さんがかほさんにあちこちふれてるわりに、かほさんの胸にふれたという話は全然出てこないのよね。それって何か理由があるの?

翔太:え、そうだっけ?

みき:そうなのよ、わたしのバストをさわりたがる男はいっぱいいるのに。

翔太:それはきっと、ぼくがかほの胸のうちにふれようとするのに精一杯で、外側には手が回らなかったんじゃないかな。

みき:意外と書き手の須藤彩香がバストにコンプレックスを持っていて、胸にふれるはなしを書きたくなかったのかも。

翔太:そんなこといってると、次の作品でスナイパーに消されるぞ。

みき:それともうひとつ。翔太さん、小説のなかでかほさんとの営みプレイをかなり濃厚に書かれてるでしょ。あれって恥ずかしくないの。

翔太:もちろん恥ずかしいさ。恥ずかしいけれど、ふたりの心理的距離が接近することで営みプレイの濃密さが増していく。そういう重要な場面の描写なわけで、そこは恥ずかしいだのなんだのいってらんないよね。

みき:だけど、カクヨムのガイドラインでは「著しく性欲を刺激するもの」への配慮を求められてるんだけど。

翔太:そのはなしだけどね、これだけ映像が出回ってるご時世じせいなのに、あえて文章表現だけで「著しく性欲を刺激する」ことができたら、それは書き手の須藤彩香の力量を認めるべきだと思うな。

みき:そんなに力量があるなら、わたしにもかほさんみたいな営みプレイの場面を書いてほしかったな。

(つづく)


(この作品の解説)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175647134705

(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

 (「本編」はこちら)

【あなたの知らないわたし〜(略)】(性描写あり)

https://kakuyomu.jp/works/16818622174747838580

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