(1)翔太、みきと邂逅する

 キャバクラデビューしたみき、来店したフリー客を接客することに。来店した客は翔太。みきも翔太も『あなたの知らないわたし、わたしの知らないあなた』の登場人物ですが、このふたりが会うのははじめてです。なお、タイトルにある「邂逅かいこうする」とは、ふたりがめぐりあったって意味ね。(須藤彩香)


みき:こんばんは。はじめまして。みきです。

客:こんばんは。はじめまして。

みき:おとなり失礼します。何をお飲みになりますか?

客:ウィスキー水割りを。あなたも何か飲みますか?

みき:ありがとうございます。ソフトドリンク頂戴ちょうだいします。

客:1杯だけね。

みき:いえいえ。頂戴できるだけでうれしいです。ところで、お名前うかがってよろしいですか?

客:いいよ。さて、なんて名前にしようかな。

みき:そんなもったいぶらずに教えて下さいよ。

客:すまないね、翔太しょうたっていうんだ。

みき:翔太さん。

翔太:そう。

みき:翔太さんって、もしかしてあの翔太さん?

翔太:あの翔太さんって、どの翔太さん?

みき:『あなたの知らないわたし、わたしの知らないあなた』の翔太さん。

翔太:ぼくのこと知ってるの?

みき:もちろんです。あの小説、全部読みました。自分が出てくるところはちょっと恥ずかしいですけど。

翔太:ぼくも一緒だ。でもね、みきさんはかわいらしい書かれ方してるからいいけど、ぼくはひどい。みんなにダメ男よばわりされる。

みき:でもね、そこが翔太さんの人気の秘密なのよ。

翔太:ぼくに人気があるって?聞いたことないな。

みき:そうなの?翔太さん、もちろんかほさんのことは知ってますよね。

翔太:もちろん知ってる。

みき:わたしが前の店で働いていたとき、あの人気嬢のかほさんが「翔太かぁ」って、なつかしそうにつぶやいていたのよね。どういうつもりでつぶやいたのかはわからないけれど。

翔太:そうなんだ。それは、知らなかった。

みき:小説にわたしがそういってるシーンが出てくるのに。さては翔太さん、小説ちゃんと読んでないな。

翔太:ごめん、ほんとはちょっとしか読んでない。とてもじゃないけどはずかしくて全部なんて読めないよ。

みき:話の途中でごめんなさい、翔太さん。はなしがすっかりはずんで水割り作ってませんでした。ちょうどわたしのドリンクも届いたので改めて乾杯しましょ。

翔太:そうだね。ぼくもすっかり忘れてたよ。水割りよろしくね。

翔太:それじゃあ、乾杯!

みき:乾杯!

(つづく)


(この作品の解説)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175647134705

(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

 (「本編」はこちら)

【あなたの知らないわたし〜(略)】(性描写あり)

https://kakuyomu.jp/works/16818622174747838580

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