てつ

8が地面を這いつくばって進む。妙な多幸感は恋と呼べる代物なのだろうか。

地面を滑らかに進む8は、浮いてはおらず、厚さのない、8だ。

8はここに居るが、あっちにも居た気がする。あっちを見たときは、こっちに8が居たかは分からないし、逆も分からない。

8は一人だ。

ふと、8に虫のような脚が生えていたら良いのになと思うことがある。そしたらば、あの気持ち悪くて、首の後ろを掻きたくなるような動きが、少しはマシになると思うのだ。

けれども8だから、脚は生えていない。

8はそこらを動き回るけれども、向こう側へは行けない。どれだけ往こうとしても、行くことはできない。

なんだか、なぞなぞみたいになった。なぞなぞとかいう遊戯のことは後世が注釈をつけるだろうから、ここに書き足したりはしない。誰か影のようなものだと思ったかもしれない。けれども、影であれば影と書く。これはなぞなぞではない。だから、君らが知っているすべてのものとは違うものなのだ。

8に触れると、8が居る場所の触り心地がする。つまるところ、8を貫通してその下を触っているような心地がする。

わたしは8を見かけるまで、わたしは8を8だと思わなかった。けれども、それが8であることは明らかだ。

誰が8を8と言ったのかわからない。8と言われるまで8は8だったのだろうか。君らは8をそれ以外の呼び方をするかもしれない。そのとき8は8でなくなるのだろうか。

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てつ @minerva_juppiter

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