星を食べるカフェ
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星を食べるカフェ
星を食べるカフェ
町外れの小さな路地を抜けると、夜しか開かない不思議なカフェがある。看板にはこう書かれていた。
—— 「本日のおすすめ:星のゼリー、月光の紅茶、流星のパフェ」
扉を押すと、室内は深い夜空のように暗く、天井には本物の星が瞬いている。奥のカウンターには、銀色の瞳を持つ店主が立っていた。
「いらっしゃいませ。今夜は、どの星を召し上がりますか?」
客たちはみな静かにメニューを眺め、思い思いに星を注文していた。ある人は儚く輝く彗星のシャーベットを、ある人は真紅のスーパーノヴァ・ジュレを。
「初心者には、金星のミルフィーユがオススメですよ。ほんのり甘く、どこか懐かしい味がします。」
すすめられるままに頼んでみると、運ばれてきたのは美しい層をなすデザート。ひとくち食べると、口の中に甘酸っぱくて優しい味が広がった。そして、不思議なことに、遠い記憶がふっと蘇る。
——夕暮れの公園で、大好きだった人と交わした最後の会話。
驚いて顔を上げると、店主は微笑んだ。
「うちの星は、食べた人の大切な記憶をそっと映し出すんです。」
気がつけば、カフェの窓の外には、まるで時間が止まったような静かな夜空が広がっていた。
「さて、次はどの星を召し上がりますか?」
——この店はきっと、夢の中にしか存在しないのだろう。
けれど、もう一度訪れたくなるような、そんな夜だった。
星を食べるカフェ sui @uni003
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