奇譚集『刹那』
スカイレイク
第1話:消え去った人
九十九さんから聞いた話になる。彼がまだ小学生だった頃、公園で友人と遊んでいるときに大人が泣きながらブランコに乗っていた。
当時はリストラなどと言う言葉も知らなかったが彼は『知っていたなら失業者だと思ったでしょうね』と言う。
その男性はブランコから降りるとフラフラと公園から出て行った。大人でも泣くことがあるんだなと奇妙な感想を持っていると、ふらっと車道に倒れ込んだ。
「轢かれる!」
そう瞬時に思ったそうだが、その人は車が来る前に地面に染みこんで消えた。その時は何が何だか分からなかったが、彼によるとその体験をしたのがちょうどバブル経済が終わった頃だったらしい。
彼の直感でしかないが、『アレは多分生きてないし、助けようがなかったんだろうね』だそうだ。
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