第2話
転校生、
俺の横の席…、予想通りというか、最悪の予感は当たってしまった。
しばらくすると彼女は視線を合わせずに俺だけに聞こえる小さな声で話しかけてきた。
「名前は?」
「…
少し疑問を抱いた顔をしながらも霧宮古都音は深く溜息をついた。
他の奴に同じような対応をしたら間違いからず嫌われることをわかっていないのか。
「どうした」
「どうしたもなにも、別になにもないけど」
「…」
「…この学園の質問であればある程度は答えれるが」
「結構よ。あなたより
不意に、唇の端がわずかに持ち上がる。嘲笑とも、挑発ともつかない。
この学園に入って以来、誰にも見せたことのないような警戒心が、自然と湧き上がってくる。
「話す相手を間違えたようね」
「──というか、上から目線で話してたら、友達どころか、いじめられるぞ」
「……友達を作ろうなんて考えたことは1秒でもなかったわね、あら、あなたが友達になってくれるのかしら。」
あくまで冷静な口調で言い放つ彼女に、言葉を失いそうになる。
友達を作らないことを“選んでいる”人間──そんな生き方があるのか。興味が湧く。
「なら、俺が友達になってやろう。いい相手だろう。」
そちらが仕掛けてくるのならこちらは先回りすればいいだけの話。
霧宮古都音は焦りを俺に見せた。
弱みを見せたらその瞬間に勝敗は決まる。
今回は俺の勝ちだと思っていてもいいだろう。
「──じゃあ条件を付けましょう。あなたは私と友達となりたいのでしょう?
なら、私にもメリットがないと。」
やはりそう簡単にはいかなさそうだ。
霧宮古都音と友達になっても別に俺にメリットがあるわけでもないのに。
「受けてやろう。」
なのに、俺の口は動いていた。
一種の興味。それがここまでも影響を受けることになるとは、
この時の俺には想像ができなかった。
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正しさの檻の中で、その微笑みは嘘をつく 明兎チョコ @ochachanochachachan
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