じゅくら

軍艦 あびす

第1話

 私の元に、とあるメッセージが届いた。

 送り主は、私が高校生の時に知り合った友人。今でも時折、共通のオンラインゲームでボイスチャットを繋げることも多々ある。仮に彼の事をTと呼ぶことにする。以降、メッセージ上でのやり取りを抜粋したものを記載。

 

「この前さ、すげー気持ち悪いもの見つけたんやけど。お前そういうの好きやろ」

「お前、俺の事なんやと思っとんねん。まあええけど」

 Tから一枚の画像が送信された。

 恐らく、T本人が描いたであろうデジタルイラストが一枚。件のモノと、それの各部分に矢印を示す形で特徴が記載されていた。

「写真は無いん?」

「いやだってなんか、写真撮ったら呪われそうやん」

 Tから送られてきたイラストと特徴の記載曰く、何かしらの植物の茎を三つ編み状にした形状をしており、上部から紐が生えていて、ストラップや御守りのような構造をしている、という。これだけ見れば確かに、呪物と言われても納得できるような概要である。

「んで、これどこで見つけたん?」

「昨日行ったラブホの床に落ちてた」

「またかよ」

 Tには現在、同棲している彼女が居る。しかし、彼は頻繁に一夜限りの相手を探しては浮気に耽っているのだ。勿論私は深く関わりたくないので、彼の浮気については普段からあまり触れない事にしている。

「まあでも、どうみてもラブホの備品ではないわな。前の客の忘れ物か」

「ちゃんと清掃しとけよな」

「安いとこ行ったんか?」

「いや、んな事ない」

 ラブホテルの床に落ちていた、正体不明の不気味な物体。ただの落とし物であろうと突き返す事もできた筈であるが、私の脳は、既にこれの正体が知りたいという欲に満たされていた。

「せや、お前のアカウントで聞いてみてや。フォロワー多いやろ」

「せやな、俺もなんか気になってきたし」

 私はTから送られてきた画像を保存し、SNSに「気色悪いものをみつけたんだが」という文面と共に投稿した。勿論すぐに反応を貰えるという訳でもないので、ひとまずは明日の朝まで待つことにする。

 ここで不気味な物体に関する話題は一旦区切りを付けて、Tと私は他の友人に声を掛け、オンラインゲームを起動した。明日は休みだから、と、メンバーはすぐに集まった。

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