第21話『授業中、黒板の文字が少しずつ違う話になっている』

 授業中、なんとなく黒板を見ていて――

「あれ?この問題文、さっきと違わなかった?」って思った。


 最初は普通の英語の例文だった。



 This is a pen.

 That is a cat.




 みたいなやつ。


 でも、ふと目を離して、また見たときには――


 That is a cat.

 The cat is watching you.




 になってた。



 ***


 しかも先生は気づかず、

 そのまま「この文の意味が分かる人〜?」って聞いてくる。


 怖くなって、友達に「今、黒板見てた?」って聞いたら、

「え?普通じゃね?」と返された。



 ***


 そして次の瞬間、

 黒板の文がこうなった。


 The cat is watching you.

 It knows your secrets.




「ちょっと待って!!」


 思わず立ち上がってしまった僕に、

 先生が驚いた顔をする。



 ***


「お、おいどうした!?」

「いや、あの……」


 黒板を見たら、もう普通の問題に戻っていた。


 Translate this sentence into Japanese.





 ***


 ……僕だけに見えてたのか?

 それとも、誰かがこっそり書き換えてるのか?

 それとも――あの猫が?



 ***


 放課後、ノートを開くと、

 いつの間にか一番下にこんな文字があった。


 Don't forget.

 It’s still watching.





 ***


 完(つづきますか?)



 ***

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