第11話
小説「針と糸と夢」
第十章:反逆の煌めき
青森弁を武器に、店で人気者になった菜々美。しかし、そんな菜々美の活躍を、快く思わない者もいた。それは、以前から店にいる、ベテランの先輩ホステスたちだった。
「ねぇ、あんた。最近、調子に乗ってない?いつから、ナンバーワン気取りなの?」
ある夜、菜々美は、先輩ホステスの一人に、そう詰め寄られた。
その先輩ホステスは、長い間、店でナンバーワンの座を守ってきた女性だった。しかし、菜々美の登場によって、客足が減り、焦りを感じていたのだ。
以前の菜々美なら、怯えて謝っていただろう。しかし、今の菜々美は、違っていた。
「そう見えますか?(笑)」
菜々美は、笑顔で答えた。その笑顔は、どこか挑発的だった。
先輩ホステスは、その態度に、さらに腹を立てた。
「あんた、いい度胸ね。私を敵に回したら、どうなるか、わかってるの?」
「敵に回す?(笑)私は、ただ、お客様に喜んでもらいたいだけですよ」
菜々美は、涼しい顔で言った。
「お客様?(笑)あんたの客は、ただの田舎者じゃない。そんな客、すぐに飽きられるわよ」
先輩ホステスの言葉は、菜々美の故郷を侮辱するものだった。
菜々美の顔から、笑顔が消えた。
「私の故郷を、馬鹿にしないでください」
菜々美の声は、低く、静かだった。しかし、その言葉には、強い怒りが込められていた。
先輩ホステスは、たじろいだ。菜々美の雰囲気が、変わったことに気づいたのだ。
「…なに、その目つき。怖いんだけど」
「私は、誰に何を言われても、自分の故郷を誇りに思っています。そして、私のことを応援してくれるお客様を、大切に思っています」
菜々美は、真っ直ぐに、先輩ホステスの目を見つめた。
「…ふん、勝手にすればいいわ。どうせ、すぐに消えるわよ」
先輩ホステスは、捨て台詞を吐いて、去っていった。
菜々美は、一人残された。
「…私は、負けない」
菜々美は、心の中で呟いた。
その夜、菜々美は、今まで以上に、お客様に笑顔を振りまいた。自分の故郷を誇りに思い、お客様を大切にした。
菜々美の真心は、お客様に伝わった。そして、菜々美の指名数は、さらに増えていった。
先輩ホステスは、悔しさに唇を噛み締めた。しかし、菜々美の勢いを止めることはできなかった。
菜々美は、水商売の世界で、確固たる地位を築き始めた。
しかし、菜々美の心の中には、いつまでも、デザイナーになるという夢が灯っていた。そして、その夢を叶えるために、菜々美は、新たな計画を立て始めた。
(第十一章へ続く)
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