あの場所で君とまた…

@tatti-nana

息苦しい日々に

「ねえねえ、今日新しくできたカフェに行こうよ」

「あー、私も気になってたとこじゃん!いこ!」

「今日お前の家行っていい?一緒にゲームしようぜ」

「お前が弱いやつ?別にいいけど」

「なっ、弱くねーし!!」

たくさんの声が飛びかう学校終わりの下校時間。たくさんの生徒たちが楽しそうに話していた。私はその中をいつものように俯いて歩く。最近は下を向いていないと、怖くて体が震えだすようにもなってしまった。…あの日から、ずっと。




「美鈴ー、ちょっと降りてきて」

一階から、かん高いお母さんの声がした。これまで意味もなしに寝転がっていたベッドからのそりと起き上がり階段を降りると、玄関には化粧をバッチリきめて、おしゃれな服を着て出かけていくお母さんの姿があった。

「美鈴、今日のごはんは冷蔵庫にあるから、それを温めて食べて。あと、洗濯物もよろしくね。食べた後のお皿はしっかり洗うのよ。」

「うん、分かってる」

いつものことだ。わざわざ呼び出して言わなくてもいいのに。

「じゃあ、もう行くね」

「美鈴」

お母さんが呼び止める。

「勉強、手を抜いたらだめよ。前のテスト、順位下がってたんだから。上位3位には入れるようにしなさいよ」

まただ、この話は。耳をふさぎたくなってしまうのをなんとか抑え返事とも言えない返事し、出かけていくお母さんの背中を見送った。

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