有心的神化論
雑踏
プロローグ
Written in the stars.
逃げ場を失くした灼熱。全身を巡る鈍痛。
口元はなにかに覆われて息苦しく、鼓膜を煽る電子音と左腕に刺さる異物が不愉快だ。
この不愉快の要因どもを今すぐ取り除きたいのに頭の中は曇っていて何も考えられず、それでも鳴り止まない脳からの電気信号に、鉛のように重い体を無理やりに持ち上げる。
酸素マスクを引きちぎる。引き抜かれた点滴がバランスを崩して床に倒れる。
ベッドサイドモニタがけたたましく叫ぶと同時、心電図の二本の波形が平行線を描く。
未だ明瞭を掴めずにいる頭とぼやけた視界を頼りにベッドから立ち上がろうとすれば、異常事態に駆け付けた看護師がスライドドアをこじ開けた。
「先生早く! 大丈夫ですか、あ──」
看護師はまるで時が止まったかのように発声と動きの一切を止め、やがて遅れて病室に走り込んできた医者も先の看護師と同じくその時を止めた。
背後で繰り広げられるそんな光景に重い首を回せば、医者の眼鏡に俺の姿が反射する。
窓から差し込んだ陽光が俺の全身を包み込み、まるで後光めく帯状の神秘的な陰影。
「神様……?」
呆然と呟いた医者の、ずれ落ちた眼鏡から覗く瞳孔に映る俺が、俺を見ていた。
* * *
気が付けば俺は人混みの中を歩いていた。
通行人を避けるでもなく、信号を待つでもなく、ただひたすら街中を歩き続けていた。途中何度か車のクラクションが怒鳴りつけてきたが、それでも意にも介さず歩き続けた。そうやって覚束ない足取りで辿り着いたのは、寂れた神社だった。参道に人影がひとつ。
「ああ、お早うございます。お早いお帰りで」
男は石畳を掃く
一応周りを見渡してみるが俺と彼以外に人の姿は見当たらない。
「そろそろお迎えにあがろうと思っていたのですが、
「お互いに、聞きたいことも山ほどあるでしょうから」
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