黒牙の魔剣士〈ラスボスの兄に転生したから義妹をラスボス化させないように甘やかす〉
猫助 月
第1話 転生と継承
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ゲームクリアだぁぁぁぁぁぁ!!!」
俺こと〔
・・・・なんか自分で言ってて悲しくなってきた
さて、そんなことは置いておいて俺は妹に勧められたゲーム【フェアリーファンタジア】、略してフェアジアと呼ばれるゲームの最高難易度をやっとクリアすることが出来たのだ。めっちゃ難しいかったわ
最高難易度と言うだけあって過去一の難易度だった
でもストーリー自体は普通に好きになれる。フェアジアは主人公のウェイルがオリクス王立学園に入学するところから始まり、なんやかんやあってヒロインたちと実力を高め合い、レベルをあげたりダンジョンを攻略したりしてラスボスを倒し、裏ボスを倒した後にヒロイン4人のうち一人のルートを選び、ハッピーエンドを迎える。最高難易度はノーマルの各エンドをクリア後に解放、さらに最高難易度の各エンドをクリア後にもう一回プレイして隠しアイテム【神々の宝珠】を7つ集めた状態でラスボスをゼロダメ、つまり無傷で倒すことで隠しエンドであるハーレムエンドを迎えることが出来るという超鬼畜仕様だからここまで来るのは本っっっっっっっっ当に大変だった
「お兄ちゃん終わったー?」
そう言って俺の部屋に入ってきて当たり前のように俺の膝の上に座ってくるのは妹の
「あー、疲れた」
「お兄ちゃんお疲れ〜、フェアジアどうだった?」
「面白かった。小説の外伝とかも全部3周したことあるからストーリー自体は何となく覚えてるけどレベル上げで手に入れたあれ、まじで手に入るのか疑ったレベルで出てこんかったよ」
「あー、あれね。お兄ちゃんもしかして漫画版読んでないの?」
「ん?小説とアニメだけだぞ」
「【妖精の指輪】は第一章クリア後に開放される【始まりの迷宮】の最下層の隠し部屋にあるよ」
「え」
「始まりの迷宮か25〜35レベの間でランダムドロップするんだよ。お兄ちゃんは運がなかったっぽいね。お兄ちゃんドンマイ」
「ちくしょう」
「お兄ちゃん、ジュース買ってー」
「唐突にどうした。まあ買ってやるけど」
「はぁ。実はね、同じクラスの小田君に告られてさー。断ってるのにしつこいの」
「相変わらずモテモテのよーで」
「結構疲れるんだよ?だから今日はお兄ちゃんに癒してほしーの!いっぱい甘やかして」
「はいはい、帰ったらなー」
「ふふっ、やったー!」
俺と永久はいつも通りの帰路に着いた。
『―――て!』
「ん?なんか言った?」
「どうしたのお兄ちゃん。疲れ過ぎて幻聴が聞こえたんじゃない?」
「・・・」
確かに聞こえたんだけどなぁ
―――――カチ
俺の中で何かスイッチの入る音が聞こえた瞬間、俺はナニカから背を向け、永久を抱き寄せた
「ちょ、お兄ちゃんなにして―――」
―――グサッ
「っ!―――ゴホッ」
背中が熱い、刺されたな。思いのほか冷静だった。そしてこれは死んだという確信があった。それでも冷静だったのは永久を守るという気持ちが恐怖や痛みなどの感情を超えたからだと思う
しかしこれは後におかしいほど冷静だったことに疑問を持つがしばらくあとの話である。
嫌な予感がした。だからすぐに永久を突き飛ばした
「お兄ちゃん!」
次の瞬間、俺は意識を失った。
▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃
俺は目を覚ます。おぎゃーおぎゃーとうるさい。誰だうるさくするのは!……俺じゃん
ふむ、よくあるラノベの異世界転生と言うやつか。しかし気のせいか?俺の新しい両親の顔、どっかで見たことあるような.......
あっ!思い出した!ラスボスの父親の〔オストン・ウィンダルク〕と母親の〔アエリアナ・ウィンダルク〕だ!
「ふふっ。あなた、そんな顔しなくても平気ですよ」
「ああ、わかっている。さて、今日からお前はゲイルだ。よろしくな、我が息子よ」
oh、マジカヨ
ゲイル・ウィンダルクは簡単に言うとラスボスの兄で、ストーリー開始直前に魔道具が暴発して死んだ。と、表向きでは言われていて、実際には暗殺された。しかも
なぜラスボスが義理の妹なのかというのは養子として引き取ったからだ。それから色々あって心を開いていくが、養子として引き取られる前の身分が厄介で実は現国王の隠し子で、これは最終章の黒幕である魔王の口からその事を聞くこととなる。
まあ、ぶっちゃけるとその魔王が
暗殺者を送ったのも魔王だし、そそのかしたりしたのも魔王だからな。
・・・・まあ、とりま普通に生きてみて今後、原作通りのストーリーにするか考えるか
てか、俺が転生したんだから他にも主人公のウェイルとじゃ、そこら辺にいるモブキャラに転生した奴がいるかも....
さすがに考えすぎ.......か?
*=*=*
そして転生してから10年がたち、俺は10歳になった。
ある日、両親に大切な話があると言われた。
そう!ついにラスボスが来るのだっ!
「ゲイル、今日からこの子がお前の妹だ。名はユリアという。ユリア、今日からこの子がお前の兄だ」
「はい、分かりました。お父様」
ユリアは俺より1つ年下だが、異常なまでの敬語は環境のせいだろう。ただ、今わかるのは、目に見えて怯えている。まあ仕方ないか
にしても、やはり黒髪は落ち着くな。なんというか懐かしい感じがして好きだなぁ。あと赤と緑のオッドアイも―――っと、挨拶しなきゃ
「よろしく、ユリア」
「よろ、しくお願い、いた、します。お兄、様」
分かりやすく言葉が途切れているな
ここでユリアの力というか体質について説明しよう。ユリアの持つ眼は【千里眼】と【改変の魔眼】と呼ばれる生まれつきのもので、千里眼は知ってる人も多いが、遠く離れた場所も見ることが出来るし、この世界では魔力や闘気といった力の源というか流れなども見ることが出来る力を有している。
そして問題なのがもうひとつの方
【改変の魔眼】は事象を改変する力を有している。これに関してはユリアがラスボスとして君臨することが出来た理由である。千里眼と組み合わせることで化けるのだ。例えば魔眼単体で魔法の《ファイアボール》を出した時に、消滅させることが出来るのだが千里眼と合わせると魔力を練った時に魔力を暴発させたり、そもそも魔力を練るということ自体無くして不発にしたりすることが出来るし他にも見えないくらい遠い距離にいても魔眼が発動可能だからはっきり言ってチートである。
しかもこの世界はゲームと違う点がいくつかあり、ぶっちゃけるとゲーム時代の力よりチートになる可能性がものすごく高い。
故に、原作最強の武器がさらに化けるかもしれない。そう考えるだけで俺はワクワクしてきた。
俺はゲーム版のフェアジアはクリアしたけど実はあれ、エンドコンテンツがあるんだけど疲れすぎてたのと満足感がすごくて終わった気になってたわ
今更思い出したからなんだって話なんだけどね
ただ原作小説に関しては外伝からスピンオフまで周回済みだから最速でレベリングしてその後に俺が行く予定の場所は番外編のフェアジアの世界の基礎を創り出したとある外界神の視点の話の中で外界神が使っていた2振りの神剣、双神剣と呼ばれる剣がある。
俺はレベリング後にその神剣の片方を使い手として認めさせる。それが今の目標かな
さて、ユリアが来てから4年の月日が流れたが、めちゃくちゃ懐かれた。しかもこの子頭もいいから週一でダンジョンに行くために連れて行けないと言うと最初こそ駄々をこねたが、今では「行ってらっしゃいお兄様!早く帰ってきてくださいね?」と言うほど聞き分けがいい。
レベリングや訓練をした結果にレベルは結構上がったと思う(確認するには専用の魔道具か神器が必要)が、剣術と魔法を極めまくった。ひたすらに剣を振り、魔力を操り、魔法を放ち、そして操る。あとは単純な肉体強化トレーニングをし続けた。
訓練を続け、俺は今ダンジョンの隠し部屋にいる。
来月から学園に通う、、、、訳ではなく。襲撃で死んだ事にして俺は裏でルトという偽名を使って暗躍する。そのための魔道具は既に手に入っている。だから俺は双神剣の片方の『邪神剣クラクモ』が眠っているここに来たのだが。問題はここからで、神剣は基本的に意思を持ち、使い手を選ぶ。
そして双神剣は特別な神剣だ。双神剣は自我があるため認めさせるしかないのだが、試練は人それぞれで俺の場合イレギュラーだから余計に心配だ
「起きろ、邪神剣クラクモ」
『――――貴様か。我を起こしたのは』
「お前の使い手になるために来た」
『くくく、面白い。であればこの剣を使いこなして見せよ。それが試練だ』
「これは......」
1本の剣がどこからともなく現れた
それは紫色の禍々しいオーラを放つ大剣だった
『この剣がなにかわかるか?』
「暴食剣グラトニー、邪気から生まれた呪いの魔剣だ。持った者を喰らい己の力に変換する力を持っているが、喰らう前に持った者を凶暴化とでもいうべき状態にする。その理由は人間の負の感情である憤怒や憎悪が持った者に押し寄せるからだ」
『貴様、、、、、やけに詳しいな』
「わるいか?」
『いや、貴様は面白そうだと思った。ただそれだけの事だ』
「まあいいさ。さっさとクリアして帰んなきゃ行けないからな」
俺は魔剣を手に持つ。その瞬間、魔剣から思念が送られてくる
憎い、許さない、殺してやる、殺せ、醜い、苦しい、助けて、裏切り者、など様々な負の思念が押し寄せる
「うるさい。黙れ!」
俺は一気に魔力を解放した
「武器なら武器らしく使われろ!そんなに喰らいたいのなら俺の敵を喰らえ!己が力にして見せろ!」
魔力で魔剣を抑え込む。そしてどっちが上か教え込む
しばらく葛藤していると魔剣から思念が来なくなり、魔剣とのパスが繋がったのを感じた
『予想以上だったぞ。まさか上下関係を教え込むとはな』
「試練はどうなんだ?」
『合格だ。これからよろしく頼むぞ我が主君よ』
「よろしく、クラクモ。俺はゲイル・ウィンダルクだ」
『主君よ、我は親しい者にはククと呼ばれている。主君もそう呼ぶといい』
「わかった。よろしくな、クク」
『うむ』
「ところでこいつ(魔剣)どうする?俺、双剣とか使ったことないんだけど」
『ふむ、なら我を切り札にすれば良い。そしてそれを普段使いにすれば良い』
「わかった。じゃあククはどうする?せっかくなら他人には見えないところにいて、いざって時に取り出したいんだが」
『なら我が主君の体内にいよう。そうすれば問題あるまい』
「うーん、それでいいならいいけど.....」
『うむ、すごいな。主君の中の魔力密度が以上だ。だが我は主君とパスを繋いでいる限りいつでも召喚可能だ』
「わかった。じゃ、これからよろしくな」
『うむ』
――ん
俺は魔剣を指輪にして右手の人差し指につけて帰った。なぜ今日、ククを取りに来たのかと言うと今週中に殺される可能性が高い。
来月から始まる学園、ストーリー開始前に殺される俺
その時は刻一刻と確実に迫って行っている
【次回予告】
次回『偽装と設立』
黒牙の魔剣士〈ラスボスの兄に転生したから義妹をラスボス化させないように甘やかす〉 猫助 月 @alsanfps
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