第82話

「ん?なーに、どうしたの?」






屈んで目線を合わせてくれるお姉さんを見て、少しだけ安心する。

思ったよりも、恐い人じゃないのかもしれない。






「エミちゃんと、エミちゃんの友だちがトイレに行っちゃって…」


「え!?トイレ休憩はさっき、全員済ませてって言ったはずだよね?」






ぎゅっと寄せた眉間で詰め寄られ、整えられた柳眉が不機嫌を顕わにする。


その形相に竦んでしまった私は、咄嗟に震える声で「ごめんなさい…」と呟くがお姉さんの視線はすでに他の女の人に向けられていて。







「あと何分かわかる?」


「え?間もなくじゃない?あ、ほら、アナウンス」


「あーもう!ほんと困る!ちょっとタツキ、この子と一緒にエミって子探してきてくれない?あたしもう準備しなきゃ間に合わないし!」


「はぁ?なんだよ急に…」


「いいから!お願い!」

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