装置逆送
一つの装置ですべての召喚獣をすべて還せるわけではない。一つの駅から出られる列車が決まっているようなものだ。
「余計わからないです」
グランが答えた。
「要するにノルツ教会はスレイを還せるということだから、ひとまず壊せばいい」
て、ノルツに来てみたが、ラマル族を連れている人などどこにもいない。閑古鳥が鳴いている。
ヴィンは管理人に尋ねた。
「ラマル族を送還する装置ですよね」
「これかい?」
でかっ。
聖堂の中カツカツだ。
「送還してもできたかわからん」
「は?」
「設計図では送還できるはずなんだが」
「おっさん、何言ってるの?」
ヴィンがさすがに呆れた。
「やってみるか」
「嫌だよ」
「ラマル族でないか?」
「そうよ」
魅力の力は使うなよ。
こんなジジイに使うか。
「装置入るか。今なら安くしておくぞ」
「いらないわよ。戻る気もないし、戻れなければどこに行くのよ」
「わからんのだ。ちなみに石ころ」
生物以外でもできるの?
レバーを下げた。
ぐんぐん騒がしくなる。
皆が耳を押さえた。
「あ……」とスレイ。
「石が消えた」
ヴィンは感心した。
スレイと顔を合わせた。
「あの石、どこにあると思う?」
ジジイが聞いてきた。
どこと言われても困るが。
「どこ?」
スレイが興味津津で尋ねた。
雪をいただいた剣のような山の向こうからサイクロプスが顔を覗かせた。
コブができていた。
「ジジイ、てめえ使うな!サイクロプス様が激怒してるぞ!」
ジジイ曰く、
「巨大化した石がサイクロプスの里に落ちるんだよ」
とのことである。
へえ。
めちゃくちゃ怒ってるね。
どうするの?
「村ごと踏み潰されるかもな」
「謝りに行くしかない」
「誰が」とヴィン。
村人はヴィンを見た。
スレイが関節の柔軟体操をはじめた。
いやいや。
「わたしが役に立つところを見せればいいんじゃないの?倒せば認めてくれるはずだ」
んな、簡単な話かな。
とんでもない装置だな。
縁に製造元のエンブレムがある。
ガイア製作所
「……」
村人に魔法ボックスを尋ねた。
村一つの魔法ボックスで、
『ヴィン姉じゃん』
「フレンシアどこ?」
『営業でクロノスの首都へ』
「ラマル族送還装置だけどさ。何、あれ。石で試したら山の向こうに飛んだんだけど」
『あれは下請けだよ。一度でも無生物置いたらいけないんだよ。ラマル族以外もダメ。はじめに村人らが好きに遊んで壊したんだ。修理してくれと言われてるけど、カネの問題で折り合いついてない』
「それはいいとして。サイクロプス激おこなんだけど、どうすればいい?」
『ヴィン姉なら倒せるよ。確かスレイとやらもいるんだよね。二人で何とかできるよ』
切られた。
もしもーし。
ヴィンはうなだれて出てきた。
「修理いくら?」
「三十二ゴルベだ」
「高っ!」
「今さっき問い合わせたら君たちが壊したらしいじゃないか。サイクロプスも知らない。退治するなら払うもん払ってもらわないと」
あんだと!
血気盛んな村人が騒いだ。
こんな機械いらねえ。
観光になるかと導入したのにラマル族のんて来ないし。
「君たちラマル族に何か別のこと期待してるだろ?彼女は本気出せば村の連中……」
いいの!?
スレイが瞳を輝かせた。
「サイクロプスに話ししに行こう」
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