夜の女子会
Algo Lighter アルゴライター
第1話 「乾杯、それぞれの一週間」
金曜の夜、新宿の隠れ家ビストロ。週末の解放感が漂う店内は、仕事終わりの人々で賑わっている。
「はー、今週も長かった!」
グラスを掲げた玲奈が、大きく伸びをする。
「ほんと、それ! お疲れ!」
美咲が玲奈のグラスに自分のグラスをカチンと当てる。沙織と千佳もそれに続き、四つのグラスが響き合った。
「はー、泡がしみる…」
玲奈はシャンパンを一口飲んで、ふっと息を吐いた。
「さて、今日も恒例の“今週の愚痴大会”を開催しますか」
沙織が笑いながら言うと、皆が頷く。
「まずは私からいい? うちの上司、会議で“とりあえず”しか言わないの! “とりあえず進めて”って言うくせに、進めたら“違う”って言うのよ!」
玲奈の愚痴に、千佳がすぐに反応する。
「うちの会社もそう! 上司の気分次第で仕事がコロコロ変わるから、何を信じればいいのかわからない!」
「そういうのって、最終的に現場の人間が振り回されるんだよね」
美咲がため息混じりに言う。
「わかるわー。こっちは上司の尻拭いしてるだけなのにね」
沙織も肩をすくめる。
「まあでも、こうして飲めば少しはスッキリするよね」
玲奈がそう言ってグラスを持ち上げると、また皆で軽く乾杯した。
「ところで、千佳のほうはどうなの?」
沙織がニヤリと笑う。
「えっ? 何が?」
「“例の彼”の話よ。進展あった?」
「ああ…うん…それがさ…」
千佳はグラスを見つめながら、少し言いづらそうに口ごもる。
「まさか、また音信不通?」
玲奈が眉をひそめる。
「いや、連絡は来るんだけど、なんかこう、微妙なのよね…誘われても、結局いつも向こうの都合優先だし」
「典型的な“都合のいい女”扱いじゃない、それ」
美咲がすかさず言う。
「いや、そうなのかなって思うんだけど、でもたまに優しいし…」
「ほら出た!“たまに優しい”!」
沙織が笑いながら指をさす。
「千佳、それ完全に沼ってるよ」
「いや、でも…」
「でも、じゃない!」
玲奈がピシャリと言う。
「結局さ、都合よく扱われるか、大事にされるかのどっちかしかないのよ。グレーゾーンにいるうちは、こっちが疲れるだけ」
「うーん…」
千佳は考え込む。
「まあ、でもさ、恋愛って理屈だけじゃないよね」
美咲が微笑む。
「好きだから悩むし、好きだから離れられない。わかっちゃいるけど、簡単には割り切れないものよ」
「そうなのよ…」
千佳は苦笑する。
「でもさ、少なくとも今は、こうして楽しく飲んでるんだから、ひとまず乾杯しよ!」
玲奈がグラスを掲げる。
「そうね、仕事も恋も大変だけど、今夜は飲もう!」
沙織が笑いながらグラスを掲げる。
「かんぱーい!」
4人のグラスが再び重なり、シャンパンの泡が弾ける。金曜の夜は、まだまだこれからだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます