ペットボトルの回収事業の裏側
ペットボトルの回収事業には、表からは見えにくいさまざまな課題や矛盾が潜んでいます。環境への配慮を掲げたリサイクル活動の陰で、意外にも新たな環境負荷や社会的な問題が生まれているのです。
まず、ペットボトルの回収率の高さは一見、環境保護の成功例に見えます。日本では回収率が80%以上に達しており、多くの自治体や企業が積極的に回収活動を推進しています。しかし、ここで注目すべきは「回収された後に何が起きているのか」という点です。
実際には、回収されたペットボトルのすべてが国内で再利用されるわけではありません。大量のペットボトルが海外に輸出され、低コストで処理されています。特に東南アジア諸国では、適切なリサイクル設備が整っていないことも多く、不適切な焼却や埋め立てにより環境汚染が深刻化しています。これは、いわば環境問題の「外部化」とも言えるでしょう。
さらに、国内でリサイクルされたペットボトルも、完全な循環型とは言い難い現状があります。多くのボトルは「サーマルリサイクル」として焼却され、エネルギーに変換されるものの、これは実質的に廃棄物の燃焼であり、二酸化炭素の排出につながります。真の意味での資源循環とは言えないのです。
また、ペットボトルのリサイクルは一大ビジネスでもあります。回収から再加工までの過程には多くの企業が関わり、利益を追求する構造が形成されています。その結果、環境保護よりも経済的な利益を優先するケースも少なくありません。回収されたペットボトルが不透明な流通経路をたどることもあり、リサイクルの名の下に不正行為が行われることも問題視されています。
さらに、消費者の意識の問題も見逃せません。リサイクルに協力しているという安心感から、過剰なペットボトル消費が助長される「リサイクル神話」の存在も指摘されています。本来であれば、使い捨て文化そのものを見直し、ペットボトルの使用量を減らすことこそが最も重要です。
このように、ペットボトルの回収事業には、環境保護の名のもとに隠された矛盾や課題が存在します。私たちに求められているのは、単にリサイクルに協力するだけでなく、「そもそもなぜこれほど多くのペットボトルが必要なのか」という根本的な問いに向き合うことです。
ペットボトルに頼らない暮らしを目指し、マイボトルの使用や、使い捨てを前提としない容器の普及に貢献することも一つの解決策です。消費者としての選択が、社会全体の仕組みを変えるきっかけになるのです。
表面的なエコ活動に満足するのではなく、その背景にある課題を見つめ、より持続可能な未来を目指していく。ペットボトルの回収事業の「闇」を知ることは、そのための第一歩なのかもしれません。
心と気合の入った随想 ポエムニスト光 (ノアキ光) @noakira
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