第9話 辺境の街グラバー
「これが異世界の
どこからどう見ても一般的日本人が想像する異世界ファンタジー世界といった
そこかしこで魔法が使われていなければテーマパークと
「もう帰れないけど、いち日本人としてこの
「ヤマト、
「うーん、簡単に言うと物語の世界観を
「ほう、それは楽しそうだな」
「そのアイデアいただきました。実現可能か、お兄様に話してみます」
3人は会話しつつ街を見回る。
「まずどこに行きましょうか?」
「一応仕事なんだし武器防具屋からってのはどうだ? 昼飯にはまだ少し時間が早いし」
「そうだな。そうしよう」
「武器防具を取り扱うお店は工業地区にあります。ここからちょっと
街の中心にある
小さな角が生えているところを見ると、ゴブリンではなくボーグルだろうか?
「どちらまで?」
「工業区の入り口までお願いします」
「はいよ」
3人を乗せた馬車はそれなりの速さで道を進む。
「……ヤマト、サツキ」
「ん?」
「アレク様、どうかしました?」
「いや、その……私の気のせいかもしれないのだが、やけに
彼女の言う通り、道行く人たちのほとんどが3人に注目する。
それは決して気のせいではなく、ヤマトたちもそれは感じていた。
「まあ、集めるよな……」
「めちゃめちゃ
「揺れている……? 確かに揺れてはいるが、馬車はこういうものではないか?」
「いや、俺たちが言っているのは……」
「馬車の方じゃなくて、その……」
サツキがアレクを指さした。
彼女の指が示した先にはアレクの
男装のせいで普段外に出れず引きこもりがちだった彼女の巨乳は、元気
青空の
それはもう――ぶるんっ! ぶるんっ! って。
「――ッ!」
「サツキ、この世界ってブラジャーないの?」
「ブラジャー? 知らない単語ですね。どういうものなのですか?」
「えーと、女性専用の下着で、胸を
「あ、それいいですね! どうやって作るんですか?」
「俺が知るわけないだろ。なんで男の俺が女の下着のことを
「まあ、確かに」
「俺が知ってるのは形と
大和はとりあえず絵を描いて形だけサツキに教えた。
そうこうしているうちに場所は工業区入り口に
3人は武器防具屋をゆっくりと
「剣、槍、斧、
「何が冗談なのだ?」
「身につければ魔法で身体能力が強化されるし、とても
「いや、でもこれじゃ大事な部分が守られないような……?」
「金属部分で心臓と肺は守られますから」
「
「まじかよ……? ファンタジー世界すごいな……でもこれお前たち着れる?」
「普通に着れますよ?」
「上に服を着ればいいしな」
「あ、なるほど」
「ヤマトさん……いくらなんでもあの格好で戦場に出るわけないじゃないですか」
「私たちはお前からどんな変態だと思われていたんだ?」
「はははは……」
先入観って怖い。
「さっき俺が言ったブラジャーってのは、このビキニアーマーの胸部分。ここをワイヤーと布で作って胸を支えるんだ」
とりあえずブラジャーの話でお茶を
だいたいの店を回った後に中央区に戻り、次は提供される料理のチェック。
どこの店も全体的に味が薄く、野菜や肉の味が悪い。
サラダを頼んだらエグみの強い野菜の上に、塩を振られて出てくるだけ。
どうやら調味料という概念がないらしい。
こいつはひと
そんな風に時間をすごし数時間後――、
「ヤマトさん、今日はありがとうございます。あなたのおかげで
「ひと儲けしたら俺にも少しでいいからボーナスを
「ヤマト、すまないがシャワーを貸してくれないか? 修道服が肌に張り付いて気持ち悪いんだ」
「あー……暑そうだもんなそれ。いいよ、
「すまないな」
「しかし……やっぱエッチだなその服」
「そ、そんなことない! わ、私は王族だぞ!? 王族がエッチな
「いや、エロに王族関係ないだろ。何食ったらそんなムチムチになるんだよ……っていうか、よくそのメスさを
「……頑張っていますので」
「サツキさんまじパネェな……」
「~~~~ッ! 話は終わりだ! 借りるぞ!」
アレクは強引に話を打ち切りノアの中に入った。
少しばかりした後、シャワーの音が聞こえてくる。
「私、お着替えをお持ちしますね」
「何か食えるものを作っておくよ。こっちの世界の飯はあんま口に合わない」
「サツキ様! 戻られましたか!」
突然、城の中から一人の兵士が飛び出してきた。
すごく
一体何かあったのだろう?
「落ち着いて下さい。どうしました?」
「バルボッサ
「1万!? 場所は!?」
「領地の最外周部分――オルトリンデ砦です。ですが……」
「まだ何かあるのですか?」
「現れたその場所がイベリコ平原……つまり、隣国の領内なのです」
「何ですって!? では……」
「隣国とは
では――と、
「ヤマトさん! 私は大急ぎでアレク様の着替えを取ってきます! ノアさんをすぐに動ける状態にしておいてください!」
「わかった!
運転席に入り、キーを回す。
エンジンに火が入りノアが覚醒した。
――おはようございます、大和。
「ああ、おはようノア、よく眠れたか?」
「ヤマト! 一体何事だ!? シャワーの音でよく聞こえなかったが何かあったのか!?」
「ああ……実は――ってお前なあ!」
アレクの
彼女は現在バスタオル一枚。
ろくに身体も
そんな状態でバスタオルから谷間やらふとももやらお尻やらがはみ出している彼女は、正にセクシーダイナマイトという言葉を
夜寝ている時こんな格好で現れたら、間違いなく暴走して押し倒している。
――おやおや、ずいぶんと
――
「されねーよ!」
「あっ!? ……す、すまない。見苦しいものを見せてしまって……」
「い、いや……大変すばらしいものを……ありがとうございます……」
「~~~ッ! そ、そんなことより一体何があった!?」
彼女の質問に大和が答える。
「お前さんの叔父さんの軍隊が。砦の最外周部分――隣国の領内に出現したらしい」
「では――」
大和が短く
「始まるぞ、戦争が」
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次回バトルパート。
おそらくあと5話前後で終了です。
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