美しいもの
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風で散る 花は命が 燃えるさま 花も人間も
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「佳人薄命」
美人には生まれつき病弱であったり、数奇な運命に弄ばれたりして、不幸な者や命短い者が多いということ、です。
ある花曇りの昼下がり。
近所の公園に行くと、五分咲きの桜が風に吹かれていたんです。
そんなときに、風が吹いたり、男子が投げたボールが当たったりすると、花は
植物は命、です。
そして、花は命を繋ぐための器官──命の象徴、命が燃えるさまに見えました。
しかし、花は、すぐに散ります。桜になれば尚更。まだ五分咲き、満開でもないのに、
美しい命が、消えているのを見ているようでした。
人も、同じだと思うのです。
美しい命は、人は、すぐに散り、逝ってしまう。花も人間も、佳人薄命。
吾輩は、美醜とは奇妙な概念だと思っています。美しくない命が、醜い命が、果たしてこの世にあるのだろうか? と。
人はすぐに散り、死にます。
当たり前のように過ごしているうちに、死にます。
花も人間も、雑草も虫も、犬も猫も、なにもかも命です。
命は美しく咲いているうちに、削れて散ります。
命とは、すべて同じ運命にあるのだ、と。
桜の花をながめて、物想いに耽る春の日です。
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