物語に普遍性を持たせるには

雨宮 徹

物語に普遍性を持たせるには

 みなさん、執筆活動の中で、どのように物語を書いていますか?


 描写の仕方にも色々あり、「チューリップの花畑がある」「蝉の鳴き声が鬱陶しい」など、様々な表現で物語にリアルさを与えていると思います。


 今回は真逆をいく提案をします。


 ズバリ、「季節を明示しない」という手法です。これだけでは訳が分かりませんね。具体例を出していきましょう。


 たとえば、先ほどの表現ですが「花畑がある」とだけ描写するとどうでしょうか。季節がいつか分からなくなりました。


 人によっては「手抜きだ!」という方もいるでしょう。確かに、季節を明示しないことで作者にとっては楽になります。


 それ以外のメリットもあります。季節を明示しないことで、稿のです。


 たとえば、ホラーやミステリーは夏に投稿されることが多いです。必然的に舞台は夏でしょう。でも、少し待ってください。夏に投稿したとして、完結してから夏以外に読む人にとっては違和感がでます。つまり、いつ読んでもいいようにする手法です。また、この方法を使えば、他のサイトで反応を見てからカクヨム版に調整しても違和感はでません。


 また、最初は春に設定しても、途中で季節が春だと辻褄が合わない時の対策にもなります。あえてぼかすこともありなのです。


 何も季節に限りません。たとえばスマホというワードを出さなければ、時代はいつか分かりません。恋愛ものであれば「永遠の愛」といったテーマには普遍性があります。しかし、時代を明示しないことで、いつの話か読者に想像させる余地が生まれます。


 他には島や神社などに名前をつけないという手もあります。ホラーなどでは「ある村」と描写すれば、「この物語はあなたの近くでも起きているかもしれません」という印象を与えることができるのです。


 ここまでの話をまとめると、「細かい描写が必要な場合もあれば、それ以外の場合はあえて書かず、読者の想像に任せる」ということです。


 この手法は書籍や公募では使えません。でも、ネット小説で使うことにより、たとえば三年後に読んだ人にも違和感なく物語を提供することができます。


 絶対にこの手法を使うべきとは言いません。ただ、一つの方法として頭の片隅に入れておくのはいかがでしょうか。

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物語に普遍性を持たせるには 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993

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