私だけの王子様を探して【完】
葉月星夜
表紙
――おかあさん、もっとよんで。
――いいわよ。次は何がいい?
――えーっとね。えーっとね。おやゆびひめ!
――まどかは本当にこのお話が好きよね。
幼い頃、母が読み聞かせてくれる童話が大好きだった。
花から生まれた小さな女の子と同じように、私だけの王子様もきっとどこかにいると信じていた。
十歳の時に母が病気で亡くなって、悲しくて寂しくて。
そんな辛い毎日から王子様が救い出してくれる日を待ちわびていた。
でも、いつまで経っても王子様は現れなかった。
高校生になった今では、王子様なんて現実にはいないって、もちろん分かっているけど、それでも心のどこかで、私だけの王子様に出会う日を待ち続けている。
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