第9話

「……あっ」


彼のパジャマの裾からもぐり込ませた手を、サワサワと動かしていた。


私ったら、どんだけ蒼の体が好きなんだ。


無意識に背中を撫で回していた。


「俺が我慢できないのも、羞恥心がないのも、お前が誘ってくるからだ」


彼の手がパジャマの裾からもぐり込んで、快感を誘うように、私の素肌にツーっと触れた。


「や、違うの。そんなつもりないの」


今日は疲れたから、明日のために眠りたい。


もう、体力が残っていない。


「分かってる。今日は触るだけだ。

桃が体調悪いのに、無理に抱いたりしないよ」


「じゃあ、私も触ってていい?」


「ああ、いいよ」


ホッとして彼の筋肉を確かめるように背中を撫でる。


硬い筋肉を覆う滑らかな素肌が気持ちいい。


「俺が我慢強いって分かっただろ?」


「う、うん……」


いろいろと疑問はあるけど、彼の素肌に触れていたくて頷いた。


それにしても、もう、蒼が隣にいないと眠れない気がする。


好きで好きでたまらない。


ずっと傍にいて。

離れないでね、お願いだから。


お互いの素肌に触れ合いながら、いつしか二人とも深い眠りに落ちていた。

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