第7話

「ほら、乾いたぞ」


ドライヤーのスイッチを切って、差し入れた指でサラサラと梳かしてくれる。


「うん……ありがとう」


「桃って、髪の毛もサラサラで気持ちいいな」


「そう? でもね、パーマかけてもすぐとれちゃうの」


だからあまりパーマはかけない。


いつもストレートの髪型だ。


「全身で触ってくれって、言ってるみたいだな」


ん? どういう事? 


意味が分からなくて、蒼に抱きついたまま首を傾げた。


「髪もサラサラだし、頬も柔らかくてスベスベで、体のどこを触っても気持ちいい」


そんな事を言われて、どう反応したらいいのか分からない。


恥ずかしくなって、彼の胸に顔を埋めた。


フッと笑った蒼は、私の髪を一撫でする。


「さあ、疲れただろ。早く休んだほうがいい」


抱き上げられてそっと横たえられた。


フカフカの布団を私に掛けると、その上から子供を寝かしつけるように、ポンポンとリズム良く叩いてくれる。


でも、今の私はそんなのじゃ眠れない。


「一緒に寝て」


座ったままだった彼の袖をクイッと引っ張った。


もう抱き合って眠るのが当たり前で、隣に彼の温もりがないとよく眠れない。

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