第6話

次に、彼女彼氏はいるのかという話題になって、その子が大学時代の彼とは自然消滅したと言う。


それを聞いて、何故かチクリと胸が痛む。


まあこの年で彼の一人や二人いてもおかしくない。


あの時でさえ、男とキスしていたのだから。


彼女を前にすると、どうも調子が狂う。


天使のような彼女には、穢れの無い体でいて欲しい。


そんな勝手な思いを抱く自分に驚く。


今は彼とは別れたんだから、いいじゃないかと自分に言い聞かせて、身勝手な思いを吐き出すようにフッと口元を緩めた。

 

銀行の話題でひとしきり盛り上がった後、突然彼女が、実年齢より上に見られたのは初めてだと口を開く。


意味が分からず彼女を見る。


佐倉も年相応か大学生に見えると不思議そうだ。


童顔の彼女は若く見られるのが嫌なのか、表情を曇らせる。

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