おまけ

ひろひろ日記

第34話

●月×日






今日は、奏子ちゃんの予防接種に来ました。

なんでチャマたちだけじゃなく、俺と秀ちゃんも付き添っているのかというと…



―――うゃあ~ん、やだ~っ!


『こら、カナ!おとなしくしてろって!』


―――ぅえ~~ん


「あらら、泣いちゃった。ほら奏ちゃーん、大丈夫だよ」


―――ひろぉ~


「…くっそ、なんでヒロだと泣きやむんだよ」



俺がいるとなぜか奏子ちゃんの機嫌が良くなるから、という理由です。

注射が嫌いな子は多いし、そういう役目で呼ばれたのなら、まぁ理解できなくもありません。

しかし。



「ヒロおまえ、どうやってうちの娘を籠絡した?」

『まったくだよ。俺とか藤くんより懐いてるって、ちょっと問題じゃない?』

「ええ?何だよ、俺のせいなの?」



藤原とチャマが揃ってジトーっとした目で見てきます。

俺は何も悪いことはしていないと思うのですが。



―――ひろ、ひろ


「ん?どうしたの」


―――おしっこ


「えー?はいはい、トイレまで我慢してね」



何とか無事に注射を済ませ、トイレも行って、おてて洗って…

二人で手を繋いでみんなのところへ戻る途中、奏子ちゃんが俺の服のすそを引っ張ってきました。



―――ひろぉ


「はーい、何?」


―――ちゅっ


「!?」


―――だいすき!



必殺・幼女の純粋な好意攻撃をまともに喰らってしまいまして…

かがんだ姿勢のまま固まる俺を、遠くからご両親が唖然とした表情で見ていらっしゃいまして…



『くぉらぁ!!ヒローっ!!』

「今おまえ何したー!!」

「うわぁ、誤解、誤解だって!俺は何もしてない!」

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