お屋敷にて

第32話

side結



奏と出会ってから2日が経ち、いよいよ今日は退院の日だ。



まだ、左肩の怪我は完治していないけど、経過も良いし、通院でいいと湊崎先生が言ってくれた。



「準備できたか?」



もともとほとんど荷物を持っていないから準備は簡単だった。



唯一の荷物といえば、昨日の朝、突然奏がくれた可愛いワンピースと部屋着。



私が着ていた服は撃たれたときに汚れていたので捨ててしまった、と奏が言っていた。



奏のくれたワンピースに袖を通して、病室を出る。水色のワンピースはフリフリ過ぎず、シンプルで可愛らしいデザインで一目で気に入ってしまった。



「じゃあ、行くか。」



奏のあとを追って病院を出る。エントランスでは湊崎先生が待っていてくれた。



先生は私が病院を出る時に



「戻ってきてはダメですよ?」



と言った。これからは通院と往診をして怪我を治していくらしい。



「先生、ありがとうございました!」



笑顔でそうかえすと、先生が微笑みながら手を振って送ってくれた。



「さぁ、屋敷へ参りましょうか。」



車に乗ると、ハルがそう言いカズが運転する車が走り出した。



どんどん病院から離れて、やがて病院は見えなくなる。

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